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婚約した三人は三人ともが殉死した。わたくしと婚約した順に、婚約後の兵役でお役目を果たして。 瞬く間に不吉な女だと噂が立った。 あのご令嬢のせいでは。 呪われているのでは? 魔女ではないのか。 ……そういえば、あのご令嬢は黒髪ではなかったか。 ——曰く、呪われた令嬢。魔女。 もともと不名誉なことを言われていたけれど、今回の件からさらにそんな噂がまことしやかに囁かれるようになって、どんなに領地が豊かでもわたくしと婚約したいひとは急激に数を減らした。 わたくしは一応公爵令嬢なのだから、本来は家格が釣り合う方との結婚が望ましい。 家柄のおかげでなんとか見つけた相手だった。 子爵はこちらの領地目当てで、表面上はやさしく接してくれたけれど、ご子息たちは、不気味な噂のつきまとう婚約者をいやがっていた。 だから、白い結婚も、第二夫人も、仕方のないことと諦めていた。 行き遅れたわたくしに、相手が見つかっただけまだよいのだと。 結局、どちらにもならなかったけれど、一番よくない結末を引き当ててしまった。 当然、その結末は招待客たちの耳にも届いている。 ふらつく足取りで大広間に戻ったものの、ねばつく視線に囲まれて、思わずきつく袖を握る。 遠巻きに何度も何度も、密かで刺々しく口さがない噂話を囁かれているのが聞こえてきた。 口をつけなくても、縦横にずらりと並べられた、これでもかと華やかに盛りつけられたご馳走を見ているだけで酔いそうだわ。 ひどい目眩がする。 ……だめね。これ以上ここにいたらだめだわ。どうにかなってしまいそうだもの。 はやく人混みから離れましょう。そうだわ、素晴らしいと評判の薔薇園はどうかしら。 迷路のように入り組んでいるそうだから、ひとに見つかりにくいはず。あまり奥まで行かなければ、会場までひとりでも帰って来られるでしょう。 少しだけ、ひとりになりたかった。
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