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わたくしに与えられたちいさな居場所は、屋敷の形をした、堅固で冷たい牢獄のようだった。 お父さまは悪くない。いつも、堂々巡りの慰めを考える。 ちゃんと食事や住む場所を与えてくださっている。教育も充分受けさせてくださった。 ただ、会話がなかった。目が合わなかった。 おまえを見ると彼女を思い出すから、と在りし日のお父さまはおっしゃった。 すまない、と。苦しそうに歪んだ横顔を覚えている。 屋敷に半ば幽閉のように連れられ、今日からここで暮らすようにと指示されて何年経ったころだったかしらね。いつしか、公爵家のご令嬢は呪われていると噂が立った。 呪われた公爵令嬢。魔女。 近づけば自分も呪われると、屋敷にはほとんどひとが寄りつかなくなった。それをまるで他人事のように淡々と受け入れて、長い年月が経つ。 ……いいえ、実際他人事ね。わたくしは、だれかを呪えはしないのだもの。 近づくと呪われてしまうかは、そんなに長くそばにいてくれるひとがいなかったからわからない。そもそもだれかを呪いたいと思ったことなんてない。 でも、そばにいようとしてくれたやさしいひとには暇を出して、別の仕事を紹介した。わたくしのところにずっと通っていたら、悪い評判が立ってしまう。
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