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第6話 ドアを開く
……としても良いぐらいだった。
あたしのくだらない物語は昨日でも、明日でも、今日でも、去年でも五年前でも十年前でも、生まれる前でも、いつでも終わって構わないんだ。この世に神様がいるとして、いや、神様なんてくそくらえだが、たとえ居るとして、あたしがどうなろうとどう生きようとどうしのうと関係ない。
すべては無駄であり無意味だ。
渇く、渇く、渇く。ただ渇くだけのこと。そうだ。意味なんてありはしない。ああ神よ、あなたはあたしと等しく無意味だ。無意味な言葉の垂れ流しを赦したまえ。アーメン。
しかし、あたしは死なず、転生もせず、目を覚ました。ただ身体中が痛みに悲鳴をあげている。どくどくとどこかしら開いた傷口から血が流れ出しているのを感じる。
指先が微かに動くけれど、それだけ。起き上がるとか手当てをするとか、そんな余裕もない。再び気を失う前に、あたしは頭の中のドアを開いた。
あたしと違って、余程のことがない限り、アリアは鍵をかけない。共感覚を開くと少し楽になった。ごめん、愛しい妹。
アリアの目を通して、懐かしくも冷たいコロニーの天井が見え、このまま死んだらドアはどうなるのだろうと思いながら目を瞑った。
アリア、愛しいアリア、シュバルツは無事だろうか。もし死んでしまっていたら、ごめん。
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