まぬけな俺と賢い彼の推理力

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まぬけな俺と賢い彼の推理力

【初対面の人間、誘うか?普通】 と思ったことは口に出さないでおく よく知りもしない、しかも会社の人間なんて、面倒以外のなにものでもない オフ会で全く知らないひとと会う方がまだ マシである コータと出会ったのもオフ会だったから… 「あ、彼女がいるから無理、かも?」 断る口実としてとっさに出た言葉だ それを聞いた杣が、クスッと笑った 「やっぱり」 「何がですか?」 「友寄さん、ゲイでしょ?」 「へ?」 「だって、普通、彼女がいても、男同士の付き合いは全然OKでしょ」 いやいやいや と、完全に否定しきれないのが悔しい 当たらずとも遠からず というか当たっている 「し、嫉妬深いんです!同棲してるんですが、休みが合わないので、休日は一緒にいなきゃダメって…」 最初の一文以外は真実だ 嘘をつくときの極意は、嘘をつくところは最小限にしておくこと しかし、ハヤテが30年かけて編み出した極意も杣にはきかなかった 「休みが合わないなら、ハヤテさんは土日はフリーですよね?」 追い詰められた 次の嘘、次の嘘、と考えているうちに、どうあがいても抜け出すのは無理なところまで来ていた これは本当のことを言うしかない 「嘘です。すみません。本音を言うと、いま初めて話したばかりの人と、休日一緒に過ごすなんてムリゲーっていうか、なにその苦行っていうか、スイーツめぐりは自分のペースで行きたいというか…」 杣は箸を動かす手を止めてハヤテを見つめていた そーだよね、そーだよね いきなりこんな早口で捲し立てられて驚いたよね?! てか、軽蔑したよね?! ごめんねごめんね ハヤテは心のなかで叫んだ すると杣から意外な答えが返ってきた 「なーんだ。本当の理由はそれだったんですね」 「へ?」 「じゃあ彼女がいるってのは嘘ってことでいいですか?」 「え、ええ…?」 「彼氏は?います?」 「だからいませんって!」 「じゃあ問題ないじゃないですか。明日もここでご飯食べて、明後日も食べて、一週間ご飯食べて、仲良くなったら晴れてスイーツめぐりです」 なんて強引な論理展開だろうか
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