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緊張で心臓がバクバクしてたけど、平常心を自分に言い聞かせ、近寄って行ってなんとか声を掛けた。
「なぁ君」
「はい?」
呼ばれて振り返ったイケメンが、間近で見たら思ってた以上に美人で、ドキドキを通り越して息が詰まった。
平常心平常心…っ
取り敢えずこのイケメンの正体を…!
「この間から気になってたんだけど、なんでそんな人気有るんだ?」
「え?」
「あっ!すっげー有名な芸能人とかだったらごめん?俺ちょっと前までフランスに住んでて、大学をこっちに進学する事にしたから帰国して来たんだけど、日本の芸能人疎くてさ…
君すげー有名そうなのに、テレビで一度も見た事無いなぁと思って」
完全に場違いであろう俺の話に、イケメンは少しポカーンとしてから笑った。
「ああwそうだね。俺まだ基本テレビでの露出が無いから…
でも一応芸能人なんだよ。久保真って言います。芸名だとローマ字でMakotoって表記が多いかな…
良かったら覚えといてやって下さい」
「久保…真か…覚えた!教えてくれて有り難う。俺、桜井勇人(さくらい ゆうと)、宜しく」
「うん」
やっと名前が聞けた!
マコト…
そう言えばイケメンの周りに集まってる女の子達がそんな名前言ってたかも?賑やかすぎてあんまり気にしてなかった。
これ絶対すげーチャンスだから…!
「真はこれから昼飯食べる?もう終わって帰る?」
「昼飯食べるよ。午後まだ教習有るし。一緒に食堂行く?」
「えっ!行く!」
「真くん!これからご飯ですかっ?」
「ご一緒していいですか!?」
「うん、いいよ」
まさかの昼食に誘ってもらえた!と思ったら、あっと言う間に周りに女の子達が寄って来て囲まれたけど、このチャンスを逃す訳にはいかないので、真の隣はなんとしてでも死守する。
教習所の食堂は、食堂と言うかイートインスペースといった感じで、購買でパンとかおにぎりとかカップ麺とかがちょっと売られているだけ。
大体の奴が外で買って来るなり弁当持ってくるなりで、そこで食べるだけの食堂。
長い机1つに10人くらい座れるように椅子が置いてあり、その中心に座った真の両サイドに、我先にと女の子達が座り、俺はなんとか真の斜め前の椅子をゲット出来た。この位置なら会話も出来る筈だし…
と言うか、まさかの真の方から凄く俺に話し掛けてきてくれた。
「桜井何歳?」
「18。真は?」
「俺も18。やっぱ同い年か。
進学する奴?就職?」
「大学進学」
「お〜、受験終わってる?」
「終わってる。
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