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いつもの様に、一歩でも講義室を出れば真はファンに囲まれる。
俺もそれに混ざりながら、金田さんの行動が不思議だったので、横に居た尚に聞いてみた。
「金田さん、わざわざ経済学部まで来たのに、なんで付いて来なかったんだ?」
「さぁ?
…でも、ここ何日かこっち来てたけど、最初から目的は久保っちじゃなかったっぽいじゃん?」
「あ、そう?」
そうだったか?
金田さんが居ると常に真は金田さんと話してたから、俺はそうは思わなかったんだけど…
「金田先輩、うちの学部の女子が可愛いってさww特に木村w」
賑やかなファンに囲まれてたのに、直ぐ後ろに居た俺と尚の会話に、真が歩きながら振り向いて、そう言って愉快そうに笑っていた。
は?なんだそれ?
恋人が他の人間「可愛い」とか言ってそっちに入れ込んでるのに、普通そんな笑って言えるネタじゃ無くね?
どういう事だよ?
…まさか…実は別れの危機と言うか、俺達が知らなかっただけで、もう既に別れたとか!!?
さっき真と金田さんが会話してた感じもアッサリしてたし、すげー可能性有るな!
いい事に気付いたお陰で、ルンルンで昼飯食べて。
ファン対応している真に合わせて食堂でゆっくりして講義室戻ったら、金田さんは居なくなってたけど、渡辺達女の子がなんだか盛り上がってた。
「なんか有った?」
と尚が女の子達に声を掛ける。
「それがね!明日花がモデルになるって!」
渡辺が尚の問い掛けにハイテンションで答えた。
明日花と言うのは木村の事だ。
真もそちらに寄って行って話に混ざる。
「ミサさんに会った?」
「会った!さっき!」
「ミサさん?」
「ミサ・ストロッツィさん。
イタリアの人気ファッションデザイナーなんだけど、日本を拠点に若い子向けのブランド立ち上げるんだって。
それの専属モデルを探してたんだけど、女性モデルはどこにも出た事が無い素人でっていうのが前提で…
金田先輩がこの間木村見て、ミサさんが希望してたイメージにピッタリだ!ってなったらしいw」
「え…」
「そう!さっきお昼で金田さんと外出たら、ミサさんが外で待ってたんだよねー」
「そーそー、で、明日花見て「正にイメージ通り!!」って大喜びでw」
「まさかブランドモデル出来る事になるなんて…!
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