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入学式の後数日は真は大学に来なかった。
混乱を避ける為オリエンテーション等は全てパスしたから。
その間に俺は尚と琢郎とゆっくり話が出来る機会がしっかり有ったので、2人とは大分仲良くなれた。
真が学校に来るようになったのは、本格的に授業が開始されてから。
その日は朝真の家に尚と琢郎と一緒に行ったんだけど、それがまたコンシェルジュ付きの大層なマンションで…
真のみならず、金田さんもその家で生活しているかのように振る舞っていて、脳味噌が状況の理解を放棄した。
…うん……?
「度々ごめんな?今日取り敢えず一緒に行って状況見させて…
取り敢えず今日はハルが学校まで車乗せてってくれるから」
「うん」
「金田先輩、今日経済学部の方来るんスか?」
「いや、そこまでは行かん。俺も授業が有るからな…
お前達は経済学部の方の門前で降ろすから、そこからすまんが頼む」
「うぃっス」
「帰りは?」
「仕事が有るから、湯川さんが学校まで迎えに行く。明日以降は送りはレンさんが」
「へーい」
「分かりました」
「では行くか…」
「あっハル、このファイル今日仕事で使うとか言ってたやつじゃね?」
「あ、そうだすまん。
真、そのまま仕事なんだから帽子を忘れるなよ?」
「うん、持った」
…えっと…
この間入学式の時は、真は金田さんの事「金田先輩」って呼んでて、金田さんは「久保」って呼んでた筈…
今何故か、「真」「ハル」と呼び捨てで、金田さんは明らか真の家に住んでるっぽくて…
えーっと……?
「久保、桜井に言ってないでしょ?金田先輩の事」
「ん?あ、そっか!悪い!
桜井、ハル…金田先輩俺の彼氏で、一緒に住んでんだよ。
って、これ他には内緒なw」
琢郎に促されて、真があっけらかんと笑いながらそう言った。
今度こそサヨウナラ……俺の初恋……
彼氏って…!!
俺に恋人が居る人間を奪い取れる度量は無い…と言うか、それ程の恋愛経験がそもそも全く無い。
こんな短期間で本当に好きだったのに……
心の中で涙しながら、金田さんの車に乗せてもらって考える
別れねーかなー…
取り敢えずちゃんと友達に徹してれば、真と金田さんが別れた時に、もしかしたらまたチャンスが…有るかも。
ここまでかなり幸運できてるし、絶対に無いとは言えないよな!
と、無理矢理ポジティブに考えておく。
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