足跡機能

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七海は、5限目が終わり、蘭部屋に向かった。 葵とお茶する約束をしていたからだ。 蘭部屋に入ったが、葵はまだ来ていないようだった。 七海は、いつものテーブル席に座り、スマホを取り出してJENIの自分のページを見た。 自撮りや買ったものや友人たちとの写真が列挙されているのをボーと納得した表情で眺めた。 「どの写真もいいかんじ。後は、最高の彼氏を作らなきゃ。」 七海はつぶやいた。 そしてどんな男だとキラキラしている今の自分に相応しいのかスマホに書き出す事にした。 --んー、やっぱりJENIに写真UPしたいし、イケメンがいいよね。顔は韓流スターみたいな薄顔。身長175cm以上で細マッチョ。外食や旅行好きな人がいいわ。後はお金持ちだといいんだけど、まぁ、それは贅沢な話かな。今は私もモデルやJENIで稼げてるしね。 「お疲れ。」 葵が蘭部屋入り口のところから叫んだ。 相変わらず声が大きい。 「お疲れ。」 七海は、笑顔で顔を上げたが真顔に戻った。 葵の隣には、イケメンが立っていた。 七海の元に歩いてくる2人。 七海は2人の雰囲気で気づいた。 あの2人は付き合っていると。 「七海。私の彼氏。彼氏できたのぉ!」 葵の表情は、恥ずかしさを隠して微笑んでいた。恋した女そのものだった。 イケメンは、葵と顔を見合わせて、私に向けて微笑みながら軽く会釈をした。 「藤堂純です。七海ちゃんは、葵ちゃんの親友て聞きました。よろしくです。」 しっかりした話し方で卒がなく好青年だった。 --なんで?なんで先にイケメンの彼氏ができるのが、私じゃなくて私より下の葵なの?信じられない。 七海は立ち上がり藤堂の近くに立った。 「七海です。よろしくね。」 とびきりの笑顔を藤堂に向けた。 しかし藤堂は、軽く会釈をし、目を葵の方に向けた。 「あ、俺飲み物買ってくるわ。何飲む?七海ちゃんのも買ってくるよ。」 「ありがとう。純くん。じゃあ私はミルクティー。七海は?」 「じゃあ私もミルクティーかな。」 藤堂は、蘭部屋を出て行った。 七海と葵は席に座った。 「で、なになに?馴れ初めは?彼氏ができそうな話とか聞いてなかったー。」 七海は2人を祝福してるかのように葵に優しく聞いた。 「それがさ、JENIで自分のページに足跡つけた人が分かるアプリがあってさ、興味本意で試しにやってみたの。そしたら、彼が毎日のように私のページ見に来てたのよ。私気づいてなかったんだけど、フォローも前からしてくれてたみたいで。それで、彼のページ見に行ったらさ、イケメンだしさ、しかも東日大学なの。思い切ってDM送ってみたら会う事になって、、、。そしたら、可愛いくて前から見てましたって。言ってくれて、、、」 「そうなんだぁ。すごいね。JENIに足跡機能見れるアプリとかあるんだ。足跡機能いらないって行ってなかったっけ?てか、そんなSNSで出会った人とか大丈夫なの?」 七海は、今にも嫉妬で発狂しそうな気持ちを押し込んでいるようだった。 「七海ー。祝福してよー。だって私にとって初彼だしさぁ。」 葵はおちゃらけて言った。 「祝福してないわけないじゃん。おめでとう、葵。」 七海は、棒読みだった。 「...。七海はずるいよ。自分の事はさ、JENIにたくさんUPしてみんなに認めて欲しいって言うくせにさ、友達の幸せは自分には関係ないってこと?」 葵は真顔になった。 「そんな風に思って、コメントしてたの?まぢ引くわ。」 七海はバカにして鼻で笑った。 藤堂がミルクティーを3本抱えて帰ってきた。 「お待たせ、遅くなってごめん、よく考えたら、俺の大学じゃないから自販機の場所知らなかったんだ。」 笑顔で話す藤堂。 「もういい。」 葵は、席を立ち藤堂の腕を掴んだ。 「純くん、いこ。七海は自分のことしか興味なさそう。私たちのことはどーでもいいらしい。」 「え!?」 葵は、藤堂の腕を引っ張り蘭部屋を後にした。 --なんで私じゃないのよ。 七海の表情からは嫉妬心が溢れ出していた。
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