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秀は、醜悪な趣味を持っている。
「真尋」
「はい」
「ゲームをしよう」
「断ります」
簡単に声をかけた男が、うるわしく微笑んでいる。
薄命そうなありようから一転して、すぐに体調を整えてしまった男は、今日も今日とて屋敷の二階に引きこもっている。
退屈そうな男が、またしても最悪な遊びを思いついてしまったらしい。付き合わされるこちらの身にもなってほしいところだ。
にんまりと笑うときは、たいてい面倒くさい。
私がばっさりと断ったにもかかわらず、まったく聞く気のない秀が、もう一度口を開いた。
最近は、本当に私を困らせることばかり言う。
「新しく来る使用人が君に目を奪われたら、真尋は一週間この部屋から出ない」
「はい?」
暴君は健在で、うるわしく微笑んでは勝手に私の唇を齧った。
近づいて勝手にセクハラをしてくるのはやめてほしい。とっくにメイドの格好にしている私は、セクハラを訴えるのも難しくないのだ。
最も、そんなことをしないことは、秀にはバレバレだろうが。
「せいぜい僕以外の男に好かれないよう、気を付けることだね」
「性格、ひん曲がっていますね」
「ありがとう」
「褒められていないこと、わかりませんか」
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