白の世界

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白の世界 僕はネガティブ思考の23歳 コンビニのアルバイトで、ただ生活費を稼ぐ為に働いている 僕はいつものようにバイトに向かう 淡々と仕事をこなし、ただ時間だけが過ぎて行く、、 あっ、僕はいつから笑わなくなったのだろう、、 昔は明るくて、皆を笑わせたり、笑ったりするのが好きだった、、 今は、何故だろう、、 何も感じない、、、 痛みも悲しみも、 何にも、、 ブー 車のクラクションが鳴り響いている、、 あっ、そうだ! 僕はバイトに行く途中で跳ねられたんだ! ここは何処なんだ? 真っ白で何も無い所、、 僕は死んだのか、、? 僕は何となく歩き出した 前も後ろも左右、上下 全部、白 全てが真っ白だと自分が歩いているのかも、分からない ここは何も無い世界 僕の心と一緒だな、、、 何も無い心 しばらく歩きながら、何気なく後ろを振り返った 何だあれは? 僕は足を止めた 僕は目が悪いので目を細め、じっと見る あっ、あれは足跡? 足跡も、3メートル後ろの方で、止まっている 僕は気にせず、また歩き出す 歩きながら、また後ろを振り返ると、、 ついてくる、、 足跡が僕にひたすら、ついてくる 気持ち悪っ 何あれ? 僕は少し恐怖を感じながら、気持ちを落ち着かせる よし、あの足跡が何なのか、確かめよう! ヒョイッと後ろを向き、まずはにらみ合う あの足跡も僕を睨み付けているように、止まっている そして、僕は足跡の方に歩き出す 1メートル行っても足跡は動かない 2メートル行っても足跡は動かない 3メートル近くになって、もう手が届きそうになった瞬間、 足跡は今気が付いたかの様に慌てている様子 少し後ろに逃げて、その後、僕の1メートルくらい、後ろに回り込む 何あれ、プフッ 何か慌ててる生きてるみたいだな 気が付いたら僕の2メートルくらい後ろに居る 僕は今度は走ってみた 全速力で走り出した あっ、僕こんなに早く走れるんだ ハァハァハァ、ちょっと苦しくなりながらも後ろを振り返ると、、、 おっそー はるか後ろに見える 多分あれだよな、、 何か無性に可愛く思えた 魂があるかのようだ 仕方ないなぁ、少し待ってあげよう 僕はその場で横になり、眠った しばらくすると、何かの気配を感じ目が覚める 僕は少し目を開けると、僕の周りを、その足跡が楽しそうにステップを刻んでいる 僕は微笑んだ 誰だか知らない 変な足跡だけど、何か一緒に居ると楽しいな とても心地がいい 昔の僕を見てるようだ 僕は起き上がり歩き出す すると足跡は僕の隣を歩く 僕は微笑んだ ここがどこか分からないけど、一緒に歩こう、僕の足跡くん ん? この足跡は、もしかして僕の足跡なのか? 僕は足跡に話かけた 僕の大切なもの 僕は置き去りにして生きてきた、、 だから何も感じなかったのかな、、? 急に足跡が目の前にきて、ステップをしたり、とても可笑しな動きばかりするから僕は、、、 ハッハッハッ ハッハッハッハッ 思わず大声でお腹を抱えて笑ってしまった 足跡は僕の足跡だと言っているよう 涙でぼやけた、僕の足に足跡が重なり、消えてしまった ちょっと寂しさもあるけど、何故かホッカリ空いた心で何も感じなかったのに、、、 その瞬間 全てが走馬灯の様に通り過ぎて行く もっと生きたかったな もっと色々な経験もしたかった もっと楽しみたかった もっと笑いたかった 自分が死んだ事さえも、涙も出なかった僕に、、 今教えてくれた、、 その足跡は僕が何処かで忘れてきた僕の一部 やっと、やっと、揃ったんだね その足で歩き出す これが本当の、僕だったんだ! もう忘れて来たりしない 大切な僕のすべてを
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