宵っ張りの先人たちの足あとを辿るべからず

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「で、現実逃避したいのは分かったけど、なんでチョコなんだったっけ?」 ええ?なんか雪の中、夜中にチョコ買いに行くって、ちょっと青春っぽくない?とみとさんが言うので、それどんな青春よ、と私は呆れた。 本当は、あの冬季限定のチョコが買いたいだけでしょう?というと、みとさんはばれたかーとあはは、と笑った。そのチョコレートは「雪のようになめらかな口どけ」というのが売り文句で、冬にだけコンビニやスーパーで売り出されるシリーズ商品だった。 でも本当のところは、みとさんは洋菓子よりは和菓子派なのを私は知っている。チョコは、ただ私を連れ出すための口実だっていうことも。 やれやれ仕方ないなぁ、と私は思う。胸の中に甘い気持ちが広がる。 「チョコと言えばね」と、さゆりさんが重々しく口に出した。
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