宵っ張りの先人たちの足あとを辿るべからず

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「試験が終わったらすぐに、バレンタインでしょう?山本教授は、レポートの内容がザルでも、チョコレートを添えて提出すると単位もらえるっていう噂が…」 「ええっ、ほんまに??」とみとさんが目を輝かせる。「そうしたらあのレポートは最後に回して適当に仕上げて、その分の時間を他の科目に使えるかも!」 いやいや待って待って、そんな訳ある? そもそもそれ、男子はどうなる訳? 確かに、男子は不利だよねぇ。 いや、でも単純にチョコレートの美味しさによって決まるとしたら、男子も同じ土俵で戦えるのでは…?男子からもらったって美味しいものは美味しいよね? その場合やっぱりコンビニチョコよりはデパートのやつ? それって結局経済力で勝負ってこと? ベルギーチョコっていくらくらいするん?? ていうか、それもうバレンタイン関係なくない? 雪が舞う中、私たちはああでもないこうでもないと議論を交わしながらコンビニに向かって歩く。私たちの後には、薄く積もった雪の上に残る宵っ張りの三人の大学生の足あと。 後輩たちには是非とも、私たちの足あとを辿ることなく真っ当に単位を取得してほしい、と私はしみじみと願った。
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