なみだの雨

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 女の子はしばらくすると「いらんかねー、いらんかねー」というのをやめました。 「ねぇ、うさぎさん」 「なんだい?」 「お山のむこうの光、きれいねぇ。そう思わない?」  笑顔でうさぎにいいます。 「お星さまでも、落っこちているのかしら。もしそうならきっと、山盛りのお星さまがあるにちがいないわね」 「そうかもね」  うさぎはいいますが、悲しそうに顔を前足でふきました。 「最近じゃ、空に見える星もずいぶんすくなくなった」 「うん」 「きみは……きみが売っているものが、なんの材料になっているか知っているかい?」  女の子は首をかしげて、持っている小袋を見つめます。 「知らないわ」 「ぼくも最近知ったのだけど、お山のむこうでは、人間を殺す材料になっているらしいよ」 「えっ」  そして女の子は光る空を見ました。  今まで見ていた光が、まるでちがうように見えます。  それはそれは、心が押しつぶされて悲しくなる、失望(しつぼう)の光に見えました。 「おんなじお空の下なのに、わたしとおんなじひとたちが、わたしとおんなじひとたちに殺されているの?」
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