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「でさ、その飛沢って男が、何か金儲けさせてくれる、って言ってんだ」
「信用できんのか? そいつ」
「洪隆会(こうりゅうかい)の組員らしいぜ」
「マジ?」
そんな物騒な会話を、平然と楽しんでいる少年たち。
彼らは、聖が日中推測した、隣のクラスの四人グループだ。
ミケを殺した犯人は、彼らかもしれない。
そう聖が思った通り、抵抗できない弱い命を奪った、卑劣な人間たちだった。
夜遊び常習犯の不良たちは、正体を偽った駿佑に誘い出されて、ミケの眠る公園へやって来たのだ。
街灯の下でタバコをふかしながら、下卑た雑談に汚い笑いを交わしていると、突然彼らに声が掛けられた。
「やあ、ここだよ」
暗がりから現れた、駿佑の明るい声だ。
聖と話した声音とは全く違う、聞く者の心を弾ませるような、明朗な呼びかけだった。
「あ、びっくりしたぁ!」
「脅かさないでくださいよ、飛沢さん」
四人は、すぐに駿佑の方へ歩んでいった。
駿佑は、彼らを笑顔で迎えながら、心の中では舌打ちしていた。
(どいつもこいつも、緩んだ顔をしている)
金儲けができる、とヤクザから誘いを受ける。
そんなことが、こいつらには美味い話にしか聞こえていない。
どんなに危険な罠が待ち受けているかを、想像できていない。
にこやかな笑みを顔に作ったまま、駿佑はスタンガンを取り出した。
暗がりに、白い閃光が走る。
そして四人は、あっという間に膝から崩れ落ちた。
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