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リュンとパン屋さん
帰りが遅くなると話していた通りにセドリックの帰りが遅かったり騎士宿舎へ泊ることもある。
リュンとふたりだけの日はテーブルの上にのる料理は少なく、余計に寂しい気持ちになってしまう。
それを出さないようにと頑張ってはいるが、お互いに寂しさは隠せないようだ。
セドリックが忙しくなくなって、いつもの通りに帰ってこれるようになったら、何か驚くようなことをしたらどうだろう。
目標を作りそれを達成する間、寂しさが和らぐのではないかと思った。
だが、何をしたら驚くだろう。
「やっぱりリュンが、だよね」
リュンが何かを一つクリアできたら。きっと喜んでくれる。
「ぼくがなに?」
スープを飲んでいたスプーンが止まり、ぽたぽたとスープがお皿にたれていく。
「リュン、先にごっくんしちゃって」
「うん」
少なくなった中身を飲みスプーンを置いた。
「そうだ、お買い物」
まだ一緒に買い物をしたことがない。はじめていく場所は怖がるからともう少し慣れてきてからと思っていた。
最終目的は一人でお買い物だ。
「おかいもの?」
「そう。まだドニのお店にしか行ったことがないよね。だからもう少し行けるところを増やそうか。たとえば、このパンが売っているお店とか」
ベリーとクリームのパン、チョコレートクリームのパン、リュンが好みそうなパンを売っているお店をドニに聞き、預けている間に買いに行ってきた。
ほかにもリュンが喜びそうなパンがあったので、いつか一緒に買いに行きたいと思っていた。
「パンやさんいきたい」
「そう。それじゃお昼用に買いに行こう」
「うん!」
お気に入りのウサギとおそろいの服を着せて手をつないで家をでた。
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