獣人の子供

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 入国審査は国の役所へ書類を提出することになる。それの合否は早くて半月かかる。  許可をもらうと証明書が発行されて身分証となるのだ。これがあれば互いの国の行き来が書類一枚書けばよいだけとなる。  ちなみに知り合いの人の子から聞いたのだが、獣人の国からの招待客は入国許可書を所得する必要がないそうで、なんとも羨ましいことだ。  そして商売をするためには獣人からの推薦状があると有利となる。それは父がコネを使い用意してくれた。しかも店を出すための資金もだ。家族の応援と獣人愛でブレーズは頑張った。  店を始めるにも誰も知り合いがおらず、心細い時もあった。そんな日は買い物をするために街に出るのだが、別の場所へもいってみようと歩いていたら道に迷ってしまった。  セドリックはブレーズにできた初めての獣人の友人だった。  まだ獣人の国に慣れていないころ、道に迷っていたところを助けてくれたのがはじまりだ。  たてがみともふもふな首毛をもった真っ白い美しい毛並みの獣人だ。  獣人は人の子よりも体格に優れているものが多く、彼も二メートルはあるだろう。  ブレーズの背は一七六センチあるが、人の子の国では別に自分の背丈を低いとは感じなかったが、獣人の国へときてからは店へくるお客を見上げることが多い。  黒い制服を着てマントをしていた。それがとても似合っていて見惚れてしまった。  その時に彼が騎士であることを聞き、自分はこの国で店を開くのだと話をしたわけだ。  オープンをしたら遊びに行くよと言ってはくれたが本気にはしていなかった。だから店のオープン日にはスタンド花を贈ってくれた時は驚いたし、数日後に店に来てくれたことが嬉しかった。
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