真実

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「ブレーズ、俺の印は残っているか?」  それは数日前にセドリックがブレーズの肩に残した痕だ。  噛まれたばかりのころはくっきりとしていたが、もう跡形もなく寂しく思っていた。 「確認してみる?」  ボタンをはずしてシャツを脱ぐ。セドリックのつけた痕があった場所をなでると、その手をつかまれる。 「すっかり消えてしまったな」  そして。再びあの痛みが肩へと走る。 「いぁ」  じんじんとした痛みとともに高揚感がある。またマーキングをしてもらえたことでセドリックのものなんだと思えたからだ。 「ブレーズ」  噛んだまわりを指が撫でた。 「すまんな、色々とあったのに、明日から帰りが遅くなるかもしれない」 「そう、なんだ」  だからセドリックの印を残したのだろうか。俺はここにいる、そういっているかのように。  その個所に触れ、目を閉じる。これがあればブレーズは頑張れる。愛しい雄が自分に与えてくれたものなのだから。 「セド、僕は大丈夫だよ。リュンは守るからね」 「ありがとう、ブレーズ」  鼻先が触れ合う。獣人にとって鼻先が触れ合うのには意味がある。キスは恋愛だが、触れ合うのは家族など親しい相手にたいしてする行為だ。  自分に対するそれは友として。そうだとわかっていても嬉しくて胸が弾む。 「あぁ、そうだった。人の子はこちらよりもこっちか」  と唇を舐めてキスをする。 「ふぅ、ん」  濃厚、かつ、とろけるようなキスに腰から崩れ落ちそうになり、セドリックが腕を回して支えた。
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