真実

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 どうしてキスをしたかなんてわからない。セドリックの心をブレーズはよめないのだから。  だが、理由がどうあれ、頭がほわんとしてしまうくらい、愛しい雄からのキスは気持ちいい。 「セドぉ」 「ん、とろけた顔をして。かわいい反応」  唾液で濡れた唇を舐め、ブレーズの顔を自分のもふもふへとあてた。  胸がうるさいほど騒いでいるし、力が入らない。だらりと身を預けると、ふいに体が宙に浮く。 「え、セド!?」 「ベッドまでお運びいたします。お姫様」  お姫様とはなんだ。 「なにがって、ちょっと」  返事をする前にセドリックは寝室までの距離を歩いていく。  恥ずかしい。だけどセドリックのにおいとぬくもりに包まれて運ばれている間はとても幸せだった。 「つきましたよ、お姫様」  ベッドの上にそっと降ろされる。 「ありがとう。ところでお姫様って」 「絵本の中で王子様に抱っこされるのはお姫様だろう?」  そういうとセドリックは自分とブレーズを指さした。  最高にかっこいい雄だ。彼が王子なのには納得だが、 「セド、僕は男だからね」  物語の中のお姫様はきれいな女性で、自分はその中に登場するような人物とはかけ離れている。 「あぁ。ブレーズを雌のように見ているわけじゃない。雄として頼りにしている」  そういうと頭をなでてリュンを挟んで反対側のスペースに寝転んだ。  頼りにされている。キスされた時とは違う胸の高鳴りを感じた。 「うん、頑張るから」 「おう」  セドリックのため、そしてリュンを守るために弱気になるのは今日限りだ。  そう心に誓いブレーズは目を閉じた。
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