第一章 窮地に咲く花

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 武骨なボディは多面体の如く角張り、頭上には天使の光輪(こうりん)を思わせる防御円(インテリジェンスループ)が白く輝く。頭を覆う兜には王冠のような複数の突起を有し、左腕甲部(さわんこうぶ)に長方形をした大盾(おおだて)を、右腕甲部(うわんこうぶ)には格納式の短剣を装備。黒と緑を基調とした全体のシルエットは鎧武者を彷彿とさせる。  その上空を、無人戦闘機の編隊が立て続けに通過。東へと向かっていく。 「みんな、用意はいいな? 俺たちの初陣は激戦になる。訓練通りにやるんだ。育ててくれた両親を思い出せ! そして仲間を想え! 偉大な神は戦う力を、先駆者たちは命を下さった! その恩に報いるため、俺たちは最後の一人まで戦う! 悪魔どもに思い知らせてやれ! 神の御名によって!」 「「アーメン!」」  涼吾の激励に合わせ、全員が祈りの声を張り上げた。  「総員、二号機に搭乗!」  十月四日、午前七時五十八分。第三騎兵連隊の二個大隊が、基地の東西に位置するエプロンでそれぞれのティルトローター機に乗り込み、千葉県九十九里浜へ向け出撃した。
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