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「ああ! 他のみんなは⁉」
輸送機には五十名の兵士が乗っていたはずだが、そのほとんどの姿がない。
「散り散りだ。外へ放り出された俺たちはどうにか自力で着地できたが、機内に取り残された連中はわからん。シグナルの半分が消えてる。大隊長のもだ」
「それじゃ、僕たちのリーダーは誰?」
「……たぶん俺だ。総指揮を取ってる連隊長が生きてれば彼だが」
涼吾は言い、炎上する残骸を見つめる。
作戦通りに進んでいれば、今頃は防御陣形を展開し、無人戦闘機群の支援攻撃を受けつつ敵を迎撃しているはずだった。
『まだ動ける者は互いを守り合え! 海から来る敵を抑えろ!』
インカムから、防衛戦の連隊長を務める筒香の声。同時に、C4INSTARによって彼の位置情報が共有され、HMDに映し出された。彼我の勢力差は歴然としており、海岸は敵を示す赤のドットで溢れている。
「大佐たちと合流しよう! ここに居たら各個撃破されちまう!」
涼吾の指示で、光志たちは進路を塞ぐ敵をどうにか突破し、海岸を北へ移動する。
敵陣のど真ん中で、全高二メートルと小振りなボディにも拘わらず、微塵の恐れも感じさせぬ機動で上位悪魔に立ち向かう幻霊装騎がいた。光志たちが到着する前に、無人戦闘機群と共に先行していた筒香の専用騎体【ヴァイシュラーヴァナ】だ。
紺色を基調とした騎体の武装は一振りの太刀のみ。俊足で水上を駆け抜け、瞬く間に上位悪魔へと肉薄。恐らく権能だろう――水上から今度は敵の巨体を駆け上がり、視認が困難な速度で斬撃を見舞う。
幻霊装騎は乾闥婆のような出力霊体から送られてくる思念を変換装置を介してダウンロードし、実現装置で現実化させて戦う兵器。
各騎体には出力霊体がもたらす思念――則ち特有の権能が備わり、それを現実化することで超常的な現象を起こすことができる。即ち、神の力の一部を扱えるのである。
――――ギンッ!
硬い何かを断ち切ったような鋭い金属音が響き渡った。
【ヴァイシュラーヴァナ】の一閃が見事に上位悪魔の片腕を切り落としたのだ。
だが、そこで予期せぬ事態が起きる。
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