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「ごちそうさまでした」
カレーを食べ終わった私は食休みもほどほどに、ヒロの部屋へと向かう。
私の目当てはヒロが学校へ通っていたときに使っていた登山用リュックだ。
中学校に上がると1日に使う分の教科書やノートだけでもかなりの重さになるから、おしゃれなリュックではすぐに壊れてしまうと色々な人から聞いていたので、ヒロが中学に上がる前に大きめの頑丈な登山用リュックを用意した。
中学2年生の夏休み、新しいリュックが欲しいと言い出したヒロと一緒に新しいリュックを買いに行った。
親に用意してもらった持ち物が恥ずかしいと急に思いはじめたのかとあの時は思ったけど、今思えば前使っていたリュックにもいたずらをされていたのかもしれない。古いリュックはいつの間にか処分されていたので、どういう状態だったのかはわからないけど。
その後ヒロが学校へ行くことは無かったので、リュックは新しいまま部屋に置いてある。未使用のリュックにはじめて入れて運ばれるものが聡だというのはちょっとシュールな気もするけど、まぁ、仕方ない。あれが一番大きくて丈夫なのだから。
ヒロのリュックを手にした私は、自分の部屋にボストンバッグを取りに行く。
聡の緑のあのボストンバッグが丁度いい大きさだったのだけど、外側に血がついてしまった。さすがに血の付いたカバンを持っていると不信に思われるだろう。後のことまでちゃんと考えておけばよかった。と、今さら言ってもしょうがない。
お目当てのボストンバッグを見つけた私はついでにワンマイルウェアに着替え、二つのカバンを持って玄関へ向かった。
さあ、どれから運ぼうか。
袋を持ち上げて見て、大体の重さを比べてみる。胴体が一番重くて、その後が足。手と頭は少しだけ頭の方が重いけど、大体同じくらいの重さだろう。
とりあえず、胴体の入った袋をリュックに詰めてみる。うん、重い。でも何とか運べる重さだ。でもこれ以上詰め込むと肩がやられるかもしれない。
あとはどうしよう。
残りの5つの袋を順番に持ち上げ、どう運べば効率的か考える。
腕2本、もしくは腕1本と頭で足1本と同じくらいだろう。そして、足2本でリュックに入れた胴体と同じくらいの重さだと思う。
1往復で済ませるなら、1回目にリュックに胴、カバンに両腕。2回目にリュックに両足、カバンに頭、それとゴミを持って出るといい感じに運べるだろうか。
でも、かなり疲れている今の体で、1回に40キロ近くのモノを運ぶのは正直しんどいかもしれない。
仕方ない。往復回数は増えるけど、1回目に胴体、二回目に両足、三回目に両腕と頭とゴミ。その3回で分けて運ぶことにしよう。
私は胴体の入ったリュックを背負い、玄関のドアを開けようとドアノブへと手を伸ばす。
その時、廊下を歩く誰かの足音が聞こえてきた。
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