さよならの大掃除 ~わたしとルーロとティディベア~

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 この男の人、ちょっとイケメンだし、女の子も可愛いんだよね。その姿に自分たちを重ねた二ヶ月前を思い出す。コロナ禍でいろいろ大変なご時世だけど、わたしウェディングドレスは着たかったし、ちゃんと挙式はしてお婆ちゃんに花嫁姿は見せたかった。  わたしは昔からお婆ちゃんっ子で、お婆ちゃんの言うことならよく聞いた。お母さんと違って、お婆ちゃんは注意するだけじゃなくて、いろんな物をくれたり、いろんなところに連れて行ってくれたりしたしね。  お婆ちゃんは優しい。わたしはお婆ちゃんみたいな素敵な女性になりたいって、ずっと思っている。  もちろん社会人になった今となっては、働いていたお母さんの大変さだって分かるつもりだ。  小学生の頃、お母さんは帰りが遅かった。夕食までに帰ってきてくれることもあったけれど、夜遅くまで帰ってきてくれないこともあった。  わたしはそういう家庭しか知らなかったから「そういうもんだ」って思っていたし、だからお母さんのことが嫌いになったとか、そういうことはない。  でも、そうやって一生懸命働いた結果、今は実家で、臥せりがち。体を壊してしまったら意味ないじゃない? ――あれ、これ何てブーメラン?  年末年始には、帰省出来なかったけれど、お母さん、元気かな? 体調悪いかと思ったら、いきなり韓流ドラマを五〇話くらい一気観したり、友達と北海道旅行に旅立ったりする母だから、今はBTSの『Dynamite』でも踊りだしているのかもしれない。LINEで最近BTSにハマッているとか言っていたし。ほんと、知らんけど。  リモコンで部屋の暖房をつける。本当に寒い冬の休日。起き出すのは至難の技だ。寒いと起き出せないし、暖房をつけたらつけたで生暖かくなって、頭がポワンとして、そのまままた二度寝してしまう。いや次寝たら、三度寝だわ、うん。
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