「悲劇のヒロイン」自主降板

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誰にでも憧れはあるだろう。 ただし、それを実行出来るかは別の話。 プライドがハイスペックな私はそれを理解出来ずにいた。 特に高校に入学して間もない頃は 少しでも人の上に立ちたくて、無茶難題を自分に押付けたものだ。 「学年トップの成績を持ち、スポーツ万能。芯のあるカッコイイ女になる!」 ・・・100歩譲って勉強は努力すれば何とかなるかもしれない。 それでも学年トップに届く保証などない。 それよりも・・・ スポーツ万能って何だコラ(笑) ゴルフをすればゴルフクラブを飛ばし、野球をすればバットを飛ばし、スポーツテストはクラスビリ。 足はかろうじて早かったものの、完全なるインドア派の私には夢のまた夢だったのだ。 次に芯のあるカッコイイ女。 私の理想像は、「誰に何を言われようとへこたれず、自分を貫き通す」 これは今でも変わらない。 人生をにおいて、極楽浄土にまで持って行くであろう我がモットーである。 しかし、その方向性を間違えた。 高圧的な態度に知ったかぶり。 誰の悪口も散々言い回した。 結果が出ないのは当然にも関わらず、それを自身の落ち度だと認めようとしなかった。 性格そのものが腐っていたと思う。 いじめられても仕方ないのかもしれない。 だって同じ事をして私も誰かを傷付けていたかもしれないから。 それでも私は闘うと決めた。 だからこそ、実力と精神的な強さは誰よりも優れていなくてはならないと思っていたのだ。 誰よりも勉強を頑張った。 スポーツも頑張った。 1番では無かったけど、それなりに上へは行けた。 それでも私はバカにされた。 その理由はすぐにわかった。 「私が変わっているから」 私は人と群れる事を嫌い、常に一匹狼で生きていた。 手の込んだヘアアレンジに、ピンクのリップ。 持ち物も派手で、見た目だけで言えば気の強そうな女である。 それにも関わらず大人しいため、完全に「キャラの読めないヤバい人」と言うレッテルを貼られてしまった。 運の悪いことに私のクラスは荒れていた。 好奇心の強いクラスメートは、私という人間に興味を持ち、嫌がらせをしかけた。 多分悪ふざけのつもりなのだろう。 校則の厳しい学校で出来る事など限られている。 何か悪事がバレれば即退学だ。 だからこそ彼らは陰険な手を使い、第三者からして犯人なのか違うのか。 そんなギリギリなボーダーラインを攻めてくるのだった。 彼らに悪い事をした覚えは何ひとつない。 こちらが何か言う権利は十二分にあるはずだ。 しかし、どうしたらいいのか分からず精神だけが病んで言った。 「何の関係もない奴に何故ここまで否定されるのか?」 元々負けず嫌いな私にとってこれ程の屈辱は無かった。 「私とアイツらの違いを見せつけてやりたい」 私は私というものが分からない。 小さい頃から「変わった子」という扱いを受けていた事はよく覚えている。 独創的で、プライドが高く、飽きっぽい。 そのくせ他人から嫌われたくない一心で、人に流されやすい。 …我ながらに矛盾の塊だ。 しかし容姿には人一倍恵まれていた。 どこに行ってもチヤホヤされるくらいに。 「顔だけは可愛いから」 これが拍車をかけて人間関係を壊していく。 別に悪者になりたくてなっている訳じゃない。 ただ自分らしく生きたかった、それだけ。 …見下され、好奇心の的にされる。 それが私の運命。 私は人を恐れるようになった。 それでも私は自分らしく行き続けようとした めちゃくちゃ悔しかったから。 妬めばいい、私を恨め。 私は絶対幸せになってやる。 それを見せつけてやりたい。 それが、私が唯一出来る抗いだったのだ。 これはそんな波乱を生きる私の物語である。
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