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別れ
学校では、凪とは別行動で、一緒に居ることはない。
昔は、それが羨ましくて憎らしいとも思ったっけ。
でも、学校の登下校は必ず一緒にしていた。
学校から帰ってくると私達は一緒にいつもどこかに、寄り道をしたり、スイーツを食べに行ったりして過ごしていた。
「ねぇ梓、この前、駅前に新しいカフェが出来たみたいだよ。今日はそこに行かない?」
凪は嬉しそうに目を輝かせて私を見つめる。
「分かったよ。あまり人が多い所は好きじゃないけどそこに行こう。」そんなに行きたいオーラ出されたら行かないとは言えない…
「ありがとう。楽しみだな。」とニコニコしながら凪が話す。
新しいカフェはパステルカラーの配色で可愛らしい内装になっていて私達世代が行くようなお店だった。
ここはパンケーキが売りらしい。
フルーツや生クリームがたっぷりのせてあるパンケーキを凪は頼んだ。
私は、シンプルにリンゴがのっているパンケーキにした。
私は、シナモンが好きだからシナモンが入っている事を期待して頼んだ。
頼むとひとつひとつが大きくて食べ切れるかどうか心配になった。
「凪、これ食べて、夕飯食べられるかな?」
「大丈夫だよ。美味しいし、後の事はその時考えよう。わぁー美味しそう。」
いただきますと凪が大きな口を開けて頬張る。
そんな凪を見ていると「ぷっ。」と思わず笑ってしまう。
「梓も見てないで早く食べなよ〜」と口の周りにクリームをつけながら話す。
パンケーキを食べてみると、シナモンが入っていてリンゴとあっていて甘さも程よくて美味しい。
どんどん口の中に入っていく。
気がついた頃には、ペロっと食べ終わっていた。
「ほらっ、言ったでしょ?先の事はおきてみないとわからないんだから心配しても損だよ。夜ご飯も食べられそうでしよ?」そう言って凪は笑っている。
「ほんとだね。無駄な心配だった。」そう言って私達は笑いながら家に帰った。
いつもの大きな道に差しかかると凪は「今、車来てないよ。」と言って走りだした。
「まって、凪!私も渡る!」急いで走り凪に追いついた。凪の肩に手が触れようとした時。
急に眩しくて目が開かなくなる。
キキードン! 何がおきたのかわからない…意識が遠くなっていく…
「梓!梓!しっかりして。お母さんが分かる?」私は心の中でうん。と答えながら頷いた。
涙を流しながらこっちをみている母の顔がみえる。
話たくても声が出ない。身体も動かない。どうしてしまったのだろうか。そう考えている内に意識が遠くなっていく。
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