したごころ

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「ごめんね。せっかくのお休みに」  いつもは余裕綽々、威風堂々、SNSやってたら炎上確定な彼女が唯一、恐縮する時。脱稿後の取り散らかった部屋を僕に片づけてもらうとき。 つまり今だ。 「いいっていいて寝てな」 「ん」 寝室に彼女を突っ込んでさあ、掃除掃除。今は冬真っただ中。寒いから気合入れないと。 真っ先にキッチン。 一見するとごみの山だけど、ごみさえ片付ければあとは綺麗。珈琲淹れるぐらいしかやっていないからだ。ごみもほとんどプラスチックだから分別も楽。汚れものはマグカップぐらい。 次にリビング。 これでもかってほどあれこれ脱ぎ散らかしているのをかき集めてネットに入れるものは入れてとりあえず一旦離脱。 洗濯・トイレ掃除・お風呂掃除。 リビングでかき集めたものを全部洗濯機に放り込む。ブランドものなんてないから気にせず普通に洗濯。ついでに隣のトイレを掃除してから洗濯周りとお風呂掃除。お風呂も彼女はシャワーで済ませているから意外に楽。ちょっと念入りに洗うだけ。一番大変なのは排水溝。詳しい描写は省くけど、髪がすごい。防水タイプのラジオをかけてこんなこと言って大丈夫!? なコメントを聞きながらあちこち磨く。 再びリビング。 TVをつけて窓を全開にして床以外の雑巾がけ。TVの向こうでは美人の刑事が犯人を警棒で滅多打ちにしている。こまごましたものは一度床に全部おいてから一気にふく。高いところから低いところへ。はたき掛けは面倒なのでパス。いきなり雑巾がけで十分。ざっとふき終わったて乾いたら小物を戻す。彼女はずぼらだからちょっと置き場所買えたぐらいじゃ驚かない。掃除機をかけようと思ったけど、TVの刑事がなぞ解きを始めたからちょっと休憩。犯人、さっき警棒で叩かれたやつじゃなかったんだ。さて、掃除きかけたら仕事部屋。 仕事部屋。 ここが最も荒れ果ててる。まずは散らばった本を片付け。適当に突っ込んだところで文句は言われないからとりあえず本棚。入りきれない本は横にしたりして何とか突っ込む。紙の資料はひとまとめにして専用の箱に入れる。ごみはゴミ箱に――入りきれないのでビニール袋をキッチンから持ってきて詰め込む。いっぱいになった袋を持ってキッチンに戻って指定のごみ袋にビニール袋語と突っ込む。キッチンの生ごみも突っ込む。ここのマンションはいつでも生ごみが出せる優れモノだ。捨てに行く。戻ったら洗濯が終わっていたのでベランダへ。 ベランダ。 干す。とにかく無心に干す。最初は下着を干すとき、ちょっと気まずかったが今は慣れた。何も思わない。大事なのは中身。なんて。一人暮らしの分量かこれってぐらいある。寒いからちゃっちゃと手を動かす。終わったら仕事部屋へ引き返す。 仕事部屋。 リビングと同じ要領で掃除。仕事部屋は物が多くて狭いので掃除機は使わず床はモップと雑巾がけ。窓はしばらく全開。次は寝室。 寝室 寝ている彼女には悪いけど、起きるのを待っていたらきりがないので掛布団ごと抱き上げる。身じろぐのをなだめてソファに下ろして寝室へ戻る。 シーツと枕カバー、ベッド周りに放り出された防寒グッズの数々(ネックウォーマー、レッグウォーマー、腹巻、名称不詳のもこもこetc.)をまとめて抱えてこれまた洗濯機へ。マットレスと敷布団を仕事部屋に押し込んで、窓全開にして掃除機をかける。ベッド下に丸まっていたひざ掛けを掃除機で吸ってしまい、頭に来たけどぐっとこらえへこれも洗濯機へ(まだすすぎ前でよかった)掃除機をかけ終わってベッドにマットレスと敷布団を戻して新しいシーツを敷いてはいおしまい!
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