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秋も深まり、いよいよ交尾をきちんとしなくてはいけなくなりました。塀の向こうから可愛いメスが近づいて来ました。今まで会ったことのないメスです。僕はプロポーズをしてみました。
「あの、僕と結婚してください」
「悪いけど私、人間が好きなの。ここに住む兄弟のお兄さんが好きなの。ギターの音を聴いてから愛してることに気付いたの」
なんてことでしょう。折角いいメスに出会ったのにその子が人間を好きだなんて。
「お兄さんとじゃ、子供が作れないだろう。僕の為にたまごを産んでくれよ」
「他に当たってくれる?それより私もここに網を張りたい」
それなら僕にもチャンスがあるかもしれません。毎日顔を合わせていれば恋愛感情も沸いてくるでしょう。
「いいよ。この頃はトンボがよく捕れるよ」
僕はそう言って可愛いメスの顔を見ました。ちょっとふっくらしていて魅力的でした。
「私はルーシーっていうの。名前で呼んで」
「僕はジェイだよ。ここの家の人間は優しいから殺されたりしないよ」
ルーシーはお尻から糸を出して網を作り始めました。中々器用です。すぐに多角形の巣が出来ました。
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