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トレイン
これは夢でみたお話です。事実とは異なるため軽い気持ちでお読みください。
私は男3人兄弟の末っ子だ。今回の話は次男が癌を患っており、余命1週間と宣告された日の出来事である。
この日は私たち兄弟と父母、次男の妻の6人で病院に行き、外で早めの夕ご飯を済ましていた。私たちは今、電車に乗って家に向かっている。『いやー、今日の寿司は美味しかったな。回ってない寿司は初めてだよ。』と、次男は、笑顔で私の方に喋りかけてきた。私は、こんなに元気な人が余命1週間なのかと思いながら、頷いた。その後、電車の中だったので、私たち6人は静かにしていた。しばらくして、次男は、『俺、次の駅で降りるわ。』と言った。家の最寄駅は5駅後である。母は、『何か用事あるの。』と次男に尋ねた。『これから中学の時の同級生とこの駅で飲み会なんだよね。だから先帰ってて。』と笑顔で返事をしている。私は、急に飲み会と言い出した、兄を不審に思い、いつ決まったのか兄に尋ねた。すると次男は、『今だよ。Twitterで余命1週間と言われたことを載せたら、これから飲み行こうって友達から連絡がきたんだよね。明日、明後日も飲みに行かないと。』と笑顔で言った。人は、死ぬかもしれない1週間前でも、元気に飲みに行けるのかと私は心の中で驚いた。次男の妻は、隣で涙を堪えている。また私たち6人は、沈黙に戻ってしまった。
3分後、私は最後の時まで、癌を治すつもりがない次男に対して苛立ちをもっていた。『次は〇〇駅〜、〇〇駅〜』と次男が降りる予定の駅がアナウンスされた時、私は泣きながら、この苛立ちを次男にぶつけてしまった。次男は私に対して、『もう1週間じゃ、どうにもならないよ。後1週間、ギリギリまでやりたいことをやっとかないと。』と笑顔で返事をし、目的の駅で足早に降りて行った。私たち5人は、次男の言葉に後1週間しかないという現実を再び思い知らされてしまい、泣きながら残り4駅電車に揺られていた。
ここで私は目を覚ました。久しぶりに悲しい夢を見た。枕が涙で少し湿っている。私は朝風呂に入り、喪服に着替えた。
今日の午後には、次男の葬儀が行われる。
次男は自殺であった。
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