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「あの、っ、これ、着てみたいです…!」
振り絞るような声で言った。
だ、
だって!!!!!!
こんな良いもの着たいっていうの、勇気がいるでしょう!!!!!
それに和装婚ってやっぱり憧れっていうかっ…!!!
私の返事に、沙奈恵さんは目をキラキラ。
「きっとお似合いになります!!お小物も全部、二条で準備させてくださいねっ!
悠夏さんっ、お色直しはどうされますか??ドレス?それとも色打掛??」
え、え、え???お色直し??
全然考えてなかったけど、本当に全然考えてないんだけど、でも沙奈恵さんが「色打掛」って言ってほしそうにしている…!!
「え、と、…い、色打掛もいいかなぁって…」
私がこういうと、沙奈恵さんの目がさらにキラキラと輝いた。
「本当ですかっ!?でしたら、あのっ、…こちらへ!」
沙奈恵さん、タタタッと隣の部屋の襖の方へ。そして、そこを勢いよく開いた。
「っ、え゛えぇええ!?」
目ん玉飛び出るかと思いましたね。
その部屋には、色とりどりの色打掛が衣紋掛にかけてあった。
ちょっとまって、ここは大奥の撮影現場とかですか???こんなに色打掛が並んでることある???
あまりにも豪奢な空間に、開いた口が塞がらない。
「さ、沙奈恵さん、これは、」
「あのっ、せっかくなので色打掛も色々と見ていただきたくて…!どれも素敵なんです、素晴らしいんですっ!!花嫁のハレの日のために、作家さんたちが趣向を凝らして、こだわって作った一点物なんですっ、ぜひ全部説明させてください…!!」
沙奈恵さん、お目々キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ。
舐めてた。
老舗呉服屋のお嬢様の本気を舐めてました……!!!!
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