コトコト煮込んだ僕の恋。 (あまりに平凡な恋人達)

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元カレの焔(ほむら)だった。 相変わらずいい声だった。 相変わらずちゃらい服装だった。 相変わらずかっこよかった。 でも今は会いたくなかった。 「そんな変な写真集買う気か?」 「変じゃないよ。立派な写真集だよ」 そう言いつつも俺は写真集を隠すように抱きしめた。 そこで更に会いたくない人が現れた。 「何してるの?」 後ろから現れたのはおそらく二十前後の女性。 茶色いロングヘアのツルツルなキューティクルを見せびらかすようにして笑っている。 例えるなら、ギャル?いや、それは古いな。何ていえばいいのか・・・ジェラードピケが似合いそうな、いかにも可愛らしい風味の(あくまで風味であって可愛らしいわけではない・私見)女の子だった。 この人は多分、今の恋人なんだろう。 「別に大丈夫です。行きましょう」 そういうと焔はジェラピケ女を促して本屋を出て行ってしまった。(ジェラートピケを馬鹿にしているわけではない) くそ、なんだかケチがついた気分だ。 だいたいあの男が本屋にいるなんて。一体何事だ? 付録のついたムック本しか買わないのに(ムック本を馬鹿にしているわけではない) 本屋はインテリな俺のテリトリーだぞ。
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