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第一話【静かに過ごしたかった……】
2021年某日──
今年も変わらずの新年を迎えた訳だが……
「あんたは、相変わらずだな!おいっ!」
「なぁによ、いいじゃなぁいりぃん♡♡」
何で俺は菊ちゃんと一緒に参拝列に並んでんだ。
ちらりと後ろを見れば、完全に不貞腐れている恭平と、そんな空気などお構い無しの海月さんがひたすらに話している。
こんな初詣になるなんて、数時間前の俺達には想像つかなかっただろう……
***
まともに正月を迎えた記憶が無い去年。
「なぁ恭平、初詣どうすんだよ」
今年の12月も残り2時間を切っている。
「あぁそうだなぁベッドで倫太郎と一緒に108回鐘、鳴らそうかなぁ?」そう言いながら俺の尻に手を置いてくる。
「意味わかんないから」
「またまたぁ。わかるでしょ?」
またアホなことを言っている。
「そう言えば除夜の鐘って鳴らした事ないな」
しれっと無視をして話を進めた俺の尻を鷲掴んだまま「なら、ちょっと遠くに行って鳴らしてみるか?」という恭平。
行動と発言が伴っていない。
「それやめてから話せ」
「それってなぁに?」
後ろに手をやり甲を抓る。
「いてて。やだよぉ俺すごく倫太郎とエッチしたいもん」
「今の話じゃなくて初詣の話してんだけど、遠くってなに?」
「うんうん」
「いや、だからさ……はぁ……もぉいいや。実家帰ろ」
「っえっ一人で?何で?俺は?」
顔が下に降りていくとそのままの勢いで人の尻に顔をうずめる始末。
「ちょっ!お前何してんだ。そんな事して恥ずかしくないのかよ。やめろぉ!」
いよいしつこい尻攻めに嫌気がさし全力で顔を押しのけた。
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