# Special edition

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静かな森の中を案内され着いた所は洗練されたコテージのような場所だった。 スタッフさんからの説明を聞いているロビンを他所に、私は暖炉に駆け寄る。 随分お洒落なお部屋だ。 「彩綾、夕食まで少しあるからのんびりしよう」 「ここ、あれですよね?前にTVで見て行きたいなーって言ってた所ですよね!」 「そうそう運良くキャンセル出たんだよ」 「それは嘘でしょ、だってこんな素敵な所キャンセルする人なんていないもの」 そう言った私をそっと微笑みながら抱きしめる。 多分…ロビンは結構前からここを予約してくれてたんだと思う。 「ありがとう、すっごく嬉しいです」 そう言いながらギュッと抱きついた私の頭を撫で、 「ちょっと遠出だったから疲れただろ、同じ体勢で寝てたし。身体大丈夫?」 「はい!どこも痛くないですよ、なんかたっぷり眠った気がします」 そう言った私に声をたてて楽しそうに笑ったロビンは、 「うん、ぐっすり眠っていた」 と頷いている。 ゆったりしたソファーに座り室内をキョロキョロ見回す私に、 「テラスにもソファーがあるから明日は朝日を見ながら朝食食べよう」とか、 「ランチはダッチオーブンで作るんだよ」とか、 森の中をトレッキングしようとか、カヌーをしようとか、もうワクワクするプランを次々言葉でくれる。 「グランピングだ」 ようやくこの施設の最大の魅力を思い出してそう言った私の頬に、 「大正解」 と言いながらキスをしたロビンは、ホットワインを用意してくれるらしい。 その間にベッドルームやバスルームを探検しさらにワクワク感が増す私のテンションはうなぎのぼりで、 「ここに3泊しよう」 と言われた瞬間には私らしかぬ歓喜の声をあげた程だった。 ワイン片手にテラスに誘われ少しひんやりしたソファーに腰をおろす。 静かな森の中、空に広がる満天の星空を眺め月明かりだけが森に降り注ぐ。 「彩綾が喜んでくれて良かった」 「そりゃこんな素敵なの喜ばないわけがないじゃないですか」 「しかも滅多にお目にかかれない程の浮かれよう」 「凄く嬉しい、本当に」 そう言った私の腰を抱き寄せ頬にキスを落とされる。 「たまにはこういう非日常な空間でのんびり彩綾と過ごしたいなって思って」 「うん、素敵です。しかも今回4連休ですもんねー、年末年始みたい。あ、ここにいる事報告した方が良いですよね、緊急事態の時困りますもんね」 「…仕事から切り離れてここでのんびりしてこう」 「はい!…あ、でも報告書あげないと、」 「言ったそばから仕事の話じゃん、ホント真面目だねー、彩綾の分はエマとトムが報告してたから大丈夫だよ」 「え、もう?2人とも早いですねー」 「…やっぱりまだ寝ぼけてるね」 そう言うとクスクス笑うロビンは私を軽く抱き寄せ頭をポンポンと撫でながら、 「今日は…今は金曜の17:30分。彩綾は昨日あれからさっきまで眠ってたんだよ」 「…、…は?」 「昨日解散して家帰って、各自報告書あげて、俺とジェームズさんとボスは今日の午前中に短くWebミーティングやって荷造りして昼過ぎに出発して今ここ」 「…え、待って…私記憶が…、」 「ぐっすり眠ってたよ。車から降ろしても、ベットに寝かせても、また車に載せても。途中何度も心配になって生存確認しちゃったよ」 「…そんなに寝てた…、すいません、」 「疲れてたんだろ、夜な夜な眠れなくて夜更かししてたから肌の艶も悪くなってたし、クマも出来てたから」 「気づいてたんですか⁉︎」 「そりゃね。原因もわかってたよ」 「…、」
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