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「…それだけじゃないわね、」
ボスがギロっとヒロキを睨んだ。
「あんた、全部話してないでしょ」
「はあっ?俺正直に言ったじゃんかよ!なんだよそれ!」
ヒロキが大きな声を出す。
「おい、」
ロビンが私の隣で自棄に低い声を出した。
「おまえが言ってんのはどの薬だ?薬は他にもあんじゃねーの?水色のクリームに入れた眠剤、ピンクのクリームに入れた興奮薬剤、水色のチョコに入ってた薬が水色のクリームと同じ眠剤だとしたらピンクのチョコには興奮するヤツ入ってるかのか?その薬…確か数種類あったよなぁ?」
「知らね〜」
ヒロキがそっぽ向きながらそう言う。
「おいおい、しらばっくれるなよ?お前らが使い分けて楽しんでたのはわかってんだよ」
それでもロビンは続けて言い、
「知らねーって言ってんだろ!」
ヒロキはまたもや突っぱねる。
「…ピンクのチョコより、赤いチョコの方が苦かったんだよな」
トムがヒロキを睨みながら呟いた。
その言葉にさっきまで態度とは違い、あきらかに動揺して視線をあちらこちらに彷徨わせるヒロキ。
「その赤いチョコの薬はピンクのチョコの薬とは別物だよな?それとも何か?同系色の色を言ったんだからどっちに転んでも間違っちゃいねーよって言えるからの姑息な言い訳か?あんま大人を舐めんじゃねーぞ?小僧」
ロビンは私をそっと離すと、ズンズンと進みヒロキに詰め寄った。
「…な、なんだよそれ、俺知らねーし」
「何が知らねーだ、お前らが酒飲んで合法ドラッグだって遊びで飲んだ薬は高揚感を高めるヤツだろ、先週リョウが配った飴に入ってた薬だよなぁ、確か黄色の飴。結構刺激的なスパイシーな味がするらしいじゃん、あれ食った奴4人、ああ、後で合流したヤツは先に貰って食ってたんだろうけど、あれはさ、おそらく噛み砕いた瞬間液体が出て来んじゃねーの?だから4人はすぐにわかったんだよな?これに薬が入ってるって。流石に大学内では不味いもんな、さっさと帰んないとな?セックスできねーもんな?」
「し…らね、」
「嘘つくなよ、もう全部わかってんだ」
「知らねー!俺は今言った事しか、」
「エマが、ああおまえの前ではモモカな、そのモモカとこいつトムな?レンって言ってたけどトムな?あーややっこしいなー」
ロビンは怒り顔でヒロキを睨みつけながらも続きを話し出す。
「確かに水色のクリームには薬が入ってたんだよな、睡眠薬。おそらくエマは少なめの薬が入った方を食べるように勧められて、リリィには多めのだったんだろうな。その水色のチョコの量が違かったのかもしれないわな。で、眠くなっちゃう前に連れ出してホテルにでも雪崩れ込むつもりだったんだろ。残念ながらボスが捕獲したけどな」
「…そうよ、こういう睡眠薬は体質も関係するから多めに入ったリリィは今フラフラしてるわけ」
ボスが心配そうに私を見て捕捉してくれた。
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