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「…興奮する薬がピンクのクリームに入ってて、お前とトムが食ったんだよな?じゃあお前が食わないで、トムが食った赤色のチョコはなんだよ?どうせそっちにはクリームに入ってたよりも作用が強い似たような別な薬を使ったんだろ?すぐに興奮するヤツな、もしくは持続性があんのか?」
ロビンはグイッとヒロキの襟元を掴み引き寄せる。
「…な…に、すんだよ、」
苦しそうに、でも少しだけ怯えたようにヒロキが眼を泳がせる。
そんなヒロキにフッと鼻で笑ったトムは低い低い声で続けた。
「エマも、トムも、リリィも、最初からわかってたんだよ、薬は食べ物か飲み物に入ってるだろうって予測してたんだよ」
「じゃあ…食べなきゃいいだろ!」
ヒロキは声を荒げて反論する。
「いーや、敢えて食べんだよ。危険だってわかっててもな。じゃなきゃこうしてお前らがやったって確証がないからな、確実な証拠を掴むために敢えて口にしたんだよ。それが俺らの仕事だからな」
ニヤリと笑ったロビンは視線を逸らそうとしているヒロキをグッと締め上げ、無理矢理に視線を合わせ言い切った。
「いいか小僧、よく聞けよ、これが俺らの仕事だ。危険だってわかっていても敢えて立ち向かっていくんだ、なんでだか分かるか?信頼する仲間が絶対サポートしてくれるからだ。自分がどんな危険な状況に置かれても絶対に裏切らず必ず助けてくれる仲間がいるからだ。俺らはチームなんだよ」
そして…ヒロキはフッと力が抜けたように両手をだらんとぶら下げ、
「…、仲間か…、」
そう小さく呟いた。
「お前もな…そういう仲間を作れよ、薬で楽しむんじゃなくて、薬を止めようとしてくれるそんなヤツと友達になれよ。そうすりゃ、不思議と良い仲間が寄ってくんだよ。ここで踏ん張って自分の足でしっかり進んでみろよ。自分の未来は今の自分でいくらでも変えられるんだから」
ロビンの言葉を黙って聞いているヒロキ。
ヒロキに、ロビンの…私達の真意が少なからず響く事を願った…。
「エマとリリィは睡眠薬が入ったケーキを食べたわけでしょ〜、しかもリリィは多めのヤツ。坊やはエマを狙ってた。じゃあリリィは誰が狙ってたの?坊やの話じゃ興奮するケーキを食べたのはトムと坊やの2人じゃない?」
リンダさんが呆れたようにヒロキを見る。
「…ニシオって言うヤツだよ。いただろ?もう1人」
…ニシオ?あの残ってた男性かな。
でも、ニシオが食べてたカップケーキは薬が入ってなかったんじゃないの?
「アイツは自分で持ってんだよ、なんかカプセルみたいなヤツ何時も持ち歩いてて、眠ったオンナを好きにヤルのが好きなんだと」
もう諦めたのか素直に話したヒロキに、
「最っ低だな!眠ってる女性に同意なくするのは暴行なんだってわかってんでしょ!信じられない!卑劣過ぎる!この馬鹿!!」
エマちゃんの怒りが炸裂する。
「トムは食べたんじゃないですか?大丈夫ですか?」
ジェームズさんの問いかけに、
「すぐ吐き出して口をゆすぎましたよ。多少は飲みこんじゃってましたけど、なんとか」
だから連絡もせず居なくなってすみません、とトムは私に謝り、話を続ける。
「男子トイレでそうやっていたらリョウが入ってきて、無理矢理個室に押し入れられて、まあ、その…そういう行為をしようと…、勿論拒否しましたよ!したけど、無闇に触ったら俺に都合悪い事になるのも嫌だったんで暫く格闘してましたけど」
トムが申し訳なさそうにそう言うと、無事で何よりよ、とボスがトムを慰める。
「それをロビンとジェームズが見つけたのよ。現行犯だから逃げる余地なしよ。リョウはジェームズがかまかけたら洗いざらい喋ったわ。勿論言質は取ってある」
ボスが話を纏める。
「リリィが寝たらそのニシオって男子が連れ出すつもりだったんでしょうけど、そうなる前にリリィが危険を察知して出てきてくれたから助かったわ。」
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