# Special edition

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「お前らなんなんだよ、警察?」 ヒロキが諦めたように皆んなを伺う。 ボスは答えない。 その代わり、 「合法でも違法でも薬を使った事がダメだって理解出来るまでたーっぷり懲らしめて貰うといいわ」 そう言ってヒロキを仁王立ちで見据えた。 丁度そこに年配のおじさんと、ロビンと同年代くらいの男性がやってきた。 その2人はジェームズさんのお知り合いの刑事さんらしく、ジェームズさんにはやたらと畏まって挨拶をし、ボスには軽い挨拶だった。 これまでの話はジェームズさんがこの2人に通話中の状態で聞かせていたそうで、任意だけど警察に同行される事になった。 既に別の刑事さんがリョウから話を聞き出しているらしく、私達の話と相違ないから私達は後日この件を話す事でまとまった。 ただ念の為ここにいる全員の尿検査を求められた。 それは仕方ない。 睡眠薬と言ってて、もし違う薬なら大変な事だし。 すぐに女性の警察官も合流し、近隣の病院で検査しそれを提出する事となった。 違法薬物ではない事が証明できホッとする。 ただ一つ問題が発生して…、 「スギヤマくーん、随分横柄な態度ね〜、協力してくれる人物に対してどういう言葉遣いをするべきか散々注意してあげたのに未だに直さないんだ〜。そういう人は偉くはなれないのよ〜」 ボスが中年の男性に向かって口を開いた。 戸惑う男性。 「偉くなりたいならまず自分を変えろ、誰がお前を見ても納得してもらえる器を持たなきゃただの成り上がりだぞ。若い頃のお前が嫌ってた奴らと同類だって気付け」 …低い声…男性の声でその男性の耳元でそう言ったボスはニヤリと不敵に笑うとサッサと病院から出て行く。 慌てて追いかける私達の背後で、 「え、えっ⁉︎…まさか、ええっ?」 と、慌てふためく男性。 「それではお世話になりました。今後も社長の澤木をはじめ我が社PEACEを何卒よろしくお願いいたします」 ジェームズさんは深々と頭を下げると颯爽と歩き出す。 その背後でまたもやあの中年刑事のスギヤマさんは、 「は…い、え、サワキ?…ってあの澤木?あ、え⁉︎さ、澤木さんっ⁉︎」 えーっつ!…と、大きな叫び声がし、年配の刑事さんにうるせえ!と怒鳴られてた。 「皆んなお疲れ様。明日の金曜はお休みにしましょう、月曜は祝日だから4連休よ、皆んな各自リフレッシュしてね。遠出しても構わないわよ、ただ連絡は取れるようにしておいてね」 ボスは突然の休暇宣言。 「いいんですか〜!やったー、どこ行こうかなあ、温泉行っちゃおうかなー、のんびり一人旅!」 エマちゃんは早速スマホで検索を始める。 「あら彼氏とお別れしたの?じゃあ次探さないとね〜。ねえ、トムなんてどーう?結構イケメンだと思うわよー、それに今日ムラムラしてると思うから一緒に温泉行ってきなさいな」 リンダさんは若者2人を揶揄って遊んでいる。 「な、なんて事言うんですか⁉︎む、ムラムラなんてしてませんよ!もう!」 トムはプンプン怒っている。 「まあまあ、いいじゃないですか。皆さんご無事で何よりですよ。トムの飲み込んでしまったという薬品も微量ですし害はないでしょう。ゆっくり連休楽しんで下さい」 ジェームズさんはトムを宥める。 「エマ、温泉どの辺狙ってるの?あ、箱根?じゃあウチは箱根以外で行ってみる?」 ロビンは既に候補地があるらしい。 「良いですね、美味しいもの食べてのんびりしましょう。でもその前にもう寝たいです」 私はフワ〜と欠伸をする。ホントもう無理、立ったまま寝れる。 「よし、じゃあ皆んな休暇気をつけて楽しんで!火曜に会いましょ!解散!」 ボスの号令でいつものよう挨拶をしてそれぞれ帰路についた。
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