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「駐車場までつけます?」
「流石に歩くと目立つから、車で先回りするか」
2人の車が社員専用の駐車場に止められているのは確認済みだ。
「でも2人揃って駐車場まで歩かれたら、話の内容や雰囲気はわかりませんよ」
「うーん、でもなぁ、付けるって言ったって、」
言葉を濁すロビン。
「もう何にもない状態が3週間になりますよ、大丈夫ですよ」
本当にあれ以降サッパリ何もない。
最近は夜な夜な映画鑑賞は続いているが、移住解消の話も出している。
でも心配症らしいロビンは毎回首を縦には降らない。
「ロビン、車で駐車場に回ってください、私歩きます」
「いや、それはダメ」
「でも、今日逃したらあの2人一緒に上がる日暫くないんですよ?」
「そうだけどさ、浮気してるようには見えないんだよな〜、リリィもそう言ってたじゃん。だから後つけるだけ無駄な気がするんだよな〜」
「それならそれで1つ証明出来るじゃないですか、2人で並んで歩いててもそう言う話題は無かったですって」
「まあそうなんだけどね」
そうやっているうちに、従業員出入り口から2人が揃って出てくる。
「あ、来た!私行きます、」
ドアをガチャっと開けた私にロビンが慌てて運転席から飛び出してくる。
「駄目だって!リリィは車、駐車場で待機。ドアのロックはちゃんとかけろよ、誰が来ても開けるな、いいな!」
「了解です」
強い口調で言われ瞬時に返事を返す。
「今夜は説教だからな!」
バンっとドアが閉められる。
ドアの向こう側のロビンはちょっと怒ってる様子に見える。
私がドアロックしたのを確認すると、植え込みの陰に周り社員駐車場に向かう流れにスッと入った。
あ、怒らせちゃった…。
車内で助手席から運転席に移動しながら反省する。
調査ではロビンの指示に従うのが通常だ。
それはロビンがこの仕事の経験も長く判断にも優れているからだ。
そんなの今まで何度もバディを組んで重々に分かっている事なのに…。
慣れが出た…よね。
一緒にいる時間が増えて、ロビンの優しさに甘え過ぎなのは自覚していた。
ロビンは一緒にいる事に対し、面倒そうな素振りなんて全く出さずにとにかく優しい。
電気代や水道代を出すと言っても拒否するし、無理矢理置いた諭吉さんは無理矢理戻されたし。
せめてもの気持ちで夕食を作るようになると、わんさか食材を買ってくれるようになった。
いつも優しく面白く接してくれ、常に私を笑顔にさせてくれる。
そうやって私の不安を取り除いてくれていたのは良く解っていた。
解っていて、甘えていたんだ。
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