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服を脱がせてくれた時も顔に生地が触れないようにしてくれた。 髪を洗ってくれた時も殴られた頬や切れた唇に泡ががかからないようにしてくれた。 汚れた手は何度も何度もフワフワの泡で優しく洗ってくれ、 傷付いた顔は柔らかなタオルをお湯で濡らし、丁寧に洗うようにそっと拭いてくれた。 ロビンが自分を洗っている時私も身体を洗っていたけど、動きが鈍いせいか、腕や背中、脚はロビンが洗ってくれた。 そうやって向かい合って湯船に浸かっても私はロビンの手を握っていて、 そんなふうに不安がる私に何も聞かず、短くなった髪を何度も何度も撫でてくれた。 時折、涙を溢すとそっと拭ってくれ、大丈夫だよ、と言葉をかけてくれた。 冷静になって考えたら、付き合ってもいないのに一緒にお風呂に入るなんてありえないんだろうけど、今の私にはそんな事よりも、ロビンと片時でも離れるのが何よりも嫌だった。 ソファーで短くなった髪を乾かしてくれている間、顔を冷やす。 今更遅すぎかもしれないけれど、やらないよりはマシだと思ってやってみた。 いつもはテープで仕切られているベッドだけど、 「俺が彩綾を抱きしめたい」 と、あくまでもロビンがテープを剥がしたいと、そう主張してくれる。 ベッドの中で優しく抱きしめられながら、その優しさにまた甘えしがみついた。 ロビンはこんなにも優しい。 悪戯好きで、揶揄ってきたり、口喧嘩なんて日常茶飯事だけど、それが楽しみでもあった。 仕事と向き合う姿勢は尊敬しかない。 注意深くあらゆる方向から物事を考え危険を回避し安全に業務を追行する。 それはこの仕事において鉄則みたいなものなんだよ、と仕事を始めたばかりの頃言われたのを今頃思い出した。 自分が怪我をしたり危険な事態になったら、スタッフもいろんな意味で危険になるからね、と。 だからロビンはいつでも冷静に柔軟に対応していた。 自分の知識と経験をフル活用して、他スタッフの意見も大事に汲んで業務に当たっていた。 私は1番近くでそれを見てきた筈なのに…。 なんで防げなかったんだろう。 「…あの時、私が疑惑の2人を付けよう、なんて言い出さなければ…、ロビンも私もあの2人がそんな関係ではないって判断したのに、私が確信を掴みたいが為に、無理につけようとしたから…、」 「…今日はいいから、」 「あの時判断を間違えていたのに、私が無理に押し通したからこうなったんです」 「…違うだろ、俺は俺の判断で動いたんだ。その結果彩綾が傷付いた、ごめん」 「違う、私が、」 「いや俺だよ」 「私が悪いの!」 「俺も悪いんだよ」 ひとつのベッドで向かい合って抱きしめてくれる胸の中で、お互いに自分が悪いと言い合う。
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