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「即答ですね、私そういう事絶対に口にしてないですよ」
「リリィはジェームズさんよりもトムよりも俺に素直」
「なんですかそれ」
「素直に俺に接する。嬉しい時はそう言って、嫌な時はハッキリと言う。自分の意見も俺には遠慮なくちゃんと言える。泣く時も俺の前だけしか泣かない。抱きしめても拒絶しない」
「…そう…ですね」
「一緒に生活するようになってよくわかった。リリィは俺を甘やかす」
「それはロビンですよ、私はいつも甘やかされています」
「好きな相手を甘やかしても問題ないだろう」
「そ、そうかもしれないですけど、」
「それに時折リリィは俺にそういう反応を見せているよ、無意識かもしれないけど」
「え、いや待って…私、そんなわかりやすい事してない、」
「でもわかるよ、俺を好きだって」
「え…、」
戸惑い言葉を失った私にロビンは微笑む。
「違うの?」
「違…くはない」
「良かった」
「…でも私の一方的なものだと思ってた」
「なんで?」
「だって…ロビンにはそういう関係の人居ましたよね、ここ最近はなかったのかもしれないですけど」
「うん、過去にはね。でもリリィを好きになってからはそういうのやめたよ、信じられないかもしれないけど本当」
「…だから…私、ワンナイトとかそういうのする気なかったんですけど、今まで。でも…ロビンならそれもアリかなって」
「え、付き合うとかじゃなくてそっち?」
「だって、特定の人作る気ないならそうなっちゃうのかなって」
「待て待て、俺そんな事言った事ないと思うけど、ましてやリリィ相手に絶対言わない!」
「あれ…?でも、仕事始めた頃居酒屋で…確かリンダさんとそう言ってましたよ、私目の前にいて聞いてましたもん!」
そう絶対に言ってた!私の歓迎会の席で真向かいに座ったロビンとリンダさんが
『いい加減に絞らないと痛い目あうわよ〜』
『余計なお世話だよ、俺は特定は作らない主義なの』
って…。うん、これ絶対に言ってた。
私の歓迎会だったからよく覚えてる、最低だなぁって思ったから。
そう、事細かにあの時の会話を再現した私に、しばらくの間思い出すよう空を見ていた。
「それってさー、株の話だよ。リンダって恋愛に自由なんだよ。だからリンダ自身が特定の相手を作らないから他人にとやかく言ったりしないよ。少なくとも俺は聞いたことない」
「…え、」
「4人で株やってるんだよ、リンダとジェームズさんとボスと俺。で、リンダはその辺は凄く慎重で手堅い安全なところしかやらないんだけど、俺は結構あちこちに手出しちゃってたからよく注意されてたの。今は随分絞ったから平気だけど」
「…株」
「そ。だいたい歓迎会の席でそんな話しないだろ普通」
ロビンはそう言うと少し不貞腐れたような表情。
「俺はじめから印象最悪じゃん」
「…すみません、つい最近までその印象のままでした」
鏡越しに謝る。
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