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結局、あの後他に数件の物件を見たけれどロビンのお眼鏡にかなったのは最初の物件だけだった。 私の意見を聞いてはくれるけれど、ボスとジェームズさんも納得した物件となるとやはりあの物件だけで…。 ロビンはすごい早さで本契約しリモートワークの合間に内装やインテリアを決めた。 マンションが出来上がるまでの間は、セキュリティ重視でボスの住んでいるマンションの下の階に一旦引っ越した。 慌ただしくバタバタした毎日のおかげか、 毎日が思いの外楽しくて幸せだからなのか、 いずれにせよ1日過ぎるのが物凄く早かった。 顔の痣が消えてすぐ、私の両親に挨拶してくれたロビンは文句無しの外面の良さを存分に発揮して両親、姉、妹、祖父母を虜にした。 ゆっくり相談しながら決めていけばいいよ、とイケメン発言をしてくれたロビンは付き合って日も浅い私の事を優先してくれる。 おそらく、時たま戸惑う私を理解して待ってくれているんだと思う。 「そういえば、あの浮気調査の件ってどうなったんですか?」 ボスの部屋で行われた夕食会の席で2週間ぶりにPEACEのスタッフに会えた私。 感動の再会をし涙ぐむリンダさんとエマちゃん、電話のみだったジェームズさんともハグし、トムとハグしようとしたところでロビンにハグされた私はロビンの隣に強制的に座らされた。 「あれね、本当に婚約者だったのよ〜、まずそこにびっくりじゃない?あんなスレンダー美女と婚約ってよっぽど金持ってんのね〜」 リンダさんは鍋の材料を手際よく準備しながら教えてくれる。 「見た目はもっさい感じですけど、あれでも有名なゲームクリエーターですからね。一昨年作ったゲームですっごい儲けたでしょうし」 不貞腐れたトムは投げやりにそういうとエマちゃんがゲーっと顔を顰める。 「エロゲームですよ、リリィさんあれ見ました?最低ですよ〜、アドベンチャーゲームとか言ってるけどほとんどエロ!課金してエッチなコスプレさせてエロい声出させて〜、課金課金課金でどんどんエロくなってくんですよ〜」 「え、そんななの?」 「そうですよーもうホント最低ー」 …ちろりとロビンに視線を向ける。 そのゲームやってたよね、夜な夜なやってたよね。 スーッと静かに視線を逸らしたロビンはジェームズさんに助けを求めるかのように笑顔を向けた。 「まあまあそれはさて置き、婚約者は店長と、あと他にもう1人浮気相手がいましてね。まあクライアントには気の毒ですが結婚する気はなかったみたいでして。アクセサリーやバックや靴を買ってもらい質屋にせっせと運び換金する日々だったみたいですね」 ジェームズさんが詳細を説明してくれる。 「婚約者もセックス抜きでそこまで貢がせたんだからとんだ曲者よね〜、まあセックスしてたら車くらい買って貰えただろうにね〜」 「リンダ、そういうのはオブラートに包んで話しなさいね」 「あら失礼、ボスに叱られちゃったわ」 ペロっと舌を出しながらウフっと笑うリンダさんは今夜も色っぽい。 「多めに払ってくれたんだから良いクライアントでしたね」 ジェームズさんはニッコリ微笑む。
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