#1

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穏やかな午後の日差しを感じながら、黙々とタイピング作業に没頭していた私の右隣から微かに音が聞こえてきた。 何の音だろうと思いながらも、手は休めない。 だんだんとハッキリと耳に届いてくる。 ハッ、ハッツ…。 …? …ハッ、ハア…ハア、ハア…ハア。 …、なに? 微かな音が息遣いだと認識できた瞬間、ゾワっと全身に鳥肌がたった。 「お嬢さん、スカートが捲れていますよ」 隣から聞こえてきた低い声。 「お嬢さん、お嬢さん、スカートがめくれていますよ!」 再度隣から聞こえてくるさっきよりも高い声。 声色を変えてはいるが、同一人物の声だ。 なぜ、声色を変える? どちらにせよ、その発言が問題だ…。 「お嬢さん、スカートがパンツに、」 2度とも無視された腹いせなのか、3度目は耳元で囁き出した。 気持ち悪っ! あまりの気持ち悪さに、つい横を向いてしまった。 それを待っていたかのように、ニヤリと笑った男。 周囲の人も気づいているだろうに、誰もが皆知らんふりをしている。 酷い。 眉を顰めながらも、この悲しい現実に向き合わなければならないらしい。 そんな私に、さらにスッと近づき再度耳元で…、 「お嬢さん、パンツ何色?」 ゾワゾワゾワっと更に鳥肌がたつ。 だめだ、もう我慢の限界。 咄嗟の行動をどうか許して。
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