0日目

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 町のメインの駅に行く大きな通りから1本北へ入ったところ。車がギリギリすれ違うことができる道幅の道路沿いにそのカフェはあった。  ケーキ売り場と飲食スペースが一緒になっている隠れ家風のカフェ。   店内の飲食スペースには何組かのお客さんがいて、ショーケースでケーキを選んでいるお客さんも何人かいた。  ショーケースには双葉のお目当て、美味しそうなイチゴのショートケーキやタルトの他にもフルーツをたくさん使ったタルトや定番のチーズケーキ、フォンダンショコラやチョコレートのケーキもあった。美味しそうな見た目にかわいい盛り付け。SNS映えしそうなケーキたち。  たくさんありすぎて迷ってしまう。  どれを注文しようか決められずにいると双葉が、決めていい?と聞いてくるので任せることにした。  双葉は、ぱぁぁと顔を輝かせ、速攻で店員さんに注文を始めた。早口で注文しているケーキの商品名が呪文のように聞こえてくる。それを横目に、私と薫くんは飲食スペースへ移動した。  店内の奥、窓際の席へ腰かける私と薫くん。すると、薫くんが内緒話をするかのようにこっそり話しかけてきた。 「一葉ちゃん、一緒に来てくれてありがとう。僕、甘いのあんまり得意じゃなくて……」  申し訳なさそうな顔の薫くん。小さい頃からケーキやチョコレートなど甘いものは苦手で食べている姿は見たことがない。それでも、こうして双葉のカフェ巡りに付き合ってくれる優しい薫くん。 私はにっこり笑って、薫くんに答える。 「気にしないで。こちらこそ、いつも双葉のわがままに付き合ってくれてありがとね」 「そんなっ、好きで付き合ってるだけだから……」  薫くんが顔を赤くしてうつ向いたところへ、双葉がトレーにケーキをのせてやってきた。  ドンッと目の前に置かれたケーキと双葉を交互に見る私と薫くん。  トレーには、いちごケーキ、いちごタルト、フルーツタルトにフォンダンショコラ。他にも焼き菓子がいくつかのっていた。それらを手際よく並べて写真を撮ってSNSにアップしていく。時間にして約3分。それが速いのか遅いのか検討もつかないけれど。 「お待たせ。さあ、食べよう」  満面の笑みの双葉に促され、私たちはケーキに箸をつけた。
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