片付ケタイ親友

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 二年の二学期にもなると、いよいよ卒業後の進路を決める進路指導が始まる。その前段階として、希望進路を書く進路希望調査票が配られた。 「なぁ、忌一ってもう進路とか決まってんの?」  いつもの時間、いつもの場所で、教室のある校舎の方をぼんやりと眺めながら博人は訊く。俺は早く就職がしたいのに、何故両親の勧めるままにこの学校へ入学してしまったのかと正直後悔していた。大学や専門学校へ進学するわけにはいかない。人のいいあの二人には、これ以上俺なんかのために学費を負担させたくない。  しかし俺はというと相変わらず異形の存在に怯え、ままならない日々が続いていた。今日も道端に飛び出した異形を避けようと、自転車のハンドルを切ったところで、後ろから来た乗用車にはねられそうになったのだ。  そして最近では雨の日以外にも、頭痛や体のダルさを感じるようになってきている。特にそれらの症状は午後から発症することが多い。こんな状態で社会に出て、普通に日常生活が送れるのだろうかと正直不安でいっぱいだ。 「博人は?」 「俺? 俺は特になりたいものとか無いんだよなぁ。普通でいい。普通に末永く健康に暮らせればいいかなぁって」 「じゃあ、一応進学する気はあるんだ?」 「まぁね。キャンパスライフは謳歌したいじゃん?」  秋晴れの高い空を見上げながら、満面の笑みをたたえる博人。 「その割には……」 「ん?」 「全然受験勉強して無いよな? 博人」 「そんなん忌一もだろ! お前だって全然してないじゃん」  俺たちは同時に吹き出した。お腹をよじり、屋上のコンクリートを叩いて、手摺を揺らす。  俺たちはよく似ている。どちらもどうしようもなく孤独で、どうしようもなく嘘つきだ。
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