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三年になっても博人との関係は変わらなかった。相変わらず新しいクラスの奴とは一言も話さない。
一つだけ今までと変わったことがあるとすれば、俺の欠席が多くなったことだ。午後になると発症する症状が、午前午後関係なく朝起きた瞬間から発症するようになった。雨の日は絶対に学校へは行けない。まずベッドから起きられない。
両親に促され、いくつかの病院で検査を受けたが結果はいつも同じ。異常なしだ。
「忌一……久しぶりだな?」
「あぁ」
「この頃全然顔見かけないから、凄ぇ心配したよ」
「ちょっとな……悪い」
本当は原因を知っている。でもそれは言えない。高校生活は残り一年を切っていて、あと少ししかない。俺はこの生活が、博人と過ごすこの他愛もない時間が結構気に入っていた。
しかしそんな想いも空しく、現実を突きつけられることとなる。俺の登校が二日に一度、週三日から二日、二週間に三日から一日と数を減らしていったので、さすがに両親から本当のことを話すよう涙ながらに迫られたのだ。
そして年の瀬となるこの日、養母と一緒に最後の登校をすることになった。
「あれ? 珍しいね。今日登校日じゃないのに」
「あぁ。もう俺は登校しないから、卒業証書を貰いに来たんだ」
職員室で挨拶を済ませ、卒業証書を受け取ると、母には先に車で待つようお願いした。そして俺だけ、別棟の屋上へと立ち寄っている。案の定そこには博人が居て、手摺に頬杖をつきながらぼんやりと教室のある校舎を眺めていた。
十二月三十日のこの日、先生らは今年最後の出勤日で、職員室を大掃除していた。勿論生徒で登校している者は、俺以外に誰もいない。
「え? もう登校しないってどういうこと? 卒業式あるよね?」
「出ない。年が明けたらすぐ、養生することになったから」
「養生……って?」
「寺に行くんだ。俺、長い間お前と一緒にいたせいで、生気が少ないんだって」
体に異常は無いが、生気と呼ばれる精神力のようなものが殆ど底をついていると、祓い屋を副業でやっている寺の住職に言われた。その寺は、俺を心配した養父が方々駆けずり回って見つけてくれたものだった。
彼らを心配させてまで優先するようなことじゃなかったと、今では反省している。いい加減、俺たちの関係をはっきりさせなくては。
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