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日本最弱の神殺し
「ちょっとパルクールの動画を見てテンション上がってマンションに登っていた所、強盗を見かけたのでガラスを突き破って飛び込み、でもやっぱりビビッて逃げ出して、でも勇気を振り絞って戻って強盗を倒したってことでいいですかね?」
「それだと君は住居不法侵入のうえすぐ影響を受ける行動に一貫性のない馬鹿な中学生になるな」
「間違ってないでしょう?」
「信じるかアホ」
病院のベッドの上、座る少年、名前は釧灘大和。
椅子の上、調書をとる刑事、名前は井上雄大。
二人は先の顛末をどういう風に無理のない、違和感のない、そして目立たない物語にしようか思案していた。
何せ大和が捕まえたのは市内三件にわたる強盗強姦殺人事件の実行犯と思しき男。
大和の起こした騒ぎはそれなりに大きかったらしく、野次馬が一斉に集まってきていた。
しかも大和は出血が酷く救急車で運ばれていたため、隠しようがなかった。
今でも、病室のテレビではあのマンションの前でレポーターが喋っている。
「ま、君には言いたいことがたくさんあるが、とりあえず君の叔父さん叔母さんが言うことは言わないでおこう」
「ありがとうございます」
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