袋小路

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 水氷の頭の中は嘘で満たされた事になるが、真実に到達するのに時間はかからないだろう。口調こそふざけているが、優秀な刑事だ。  あの三人の動きも暫くは大人しくなるだろう。警察の目が光っている。  だが、あいつらの情報収集能力は並外れている。もしかしたら、警察関係者とも考えられるだろう。俺が敵に回しているのは、国家クラスの連中だ。警察の調査の裏をかくことぐらい、朝飯前だ。  弘崎は予定通り移動をしている筈だ。一日滞在したら、別の場所へ移動することになっている。一週間分のリストを渡してあるから、大丈夫だろう。何日も同じ場所に留まっていては、目立ってしまうからな。  とにかく日常に上手く紛れることだ。それが一番の目くらましになる。  俺はどうするか。  あの三人の仲間が張り付いている可能性がある。うかつに動いて、弘崎と一緒に捕らえられてしまっては、意味がない。  一週間は大人しくしているのも手だろう。最も、弘崎に渡したのは、一週間分のリストだが、俺からの接触が無いときは、そのリストに従ってループをするように伝えてある。  弘崎に辿り着けなければ、あの三人は俺に近づいてくる筈だ。その時こそ勝負だ。あの三人を片付ける事が出来れば、弘崎を海外に逃がす時間を作ることも出来るかもしれない。  少し放置するか。動きを止めるのも、手の内の一つだ。かなり酷い目に遭った。ひと時の癒しを求めても、罰は当たらないだろう。
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