優しい手(不思議)

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優しい手(不思議)

私が中学2年生くらいの頃のお話です。 私の家では毎年、夏になるとお墓参りを兼ねて、山口県のおばあちゃん家に行ってます。 いつものように、おばあちゃん家に着く前にお墓参りを済ませ、15時頃に到着しました。 いつもの様に、ご挨拶もして慌ただしく、お風呂に順番に入り、その後、宴会そんな流れになります。 いつも様に変わりなく、食卓には沢山のご馳走と大人たちはお酒で盛り上がり、食べ終わると、そそくさと、片付けやら、布団敷きです。 宴会のお部屋は、2つの6畳ほどの畳のお部屋で、真ん中にふすまがあって、隣の仏壇のあるお部屋に父が1人で寝て、その隣のお部屋に、私と姉と母が寝るのです。 その当時にはエアコンは付いておらず、扇風機で蒸し暑いなか寝なくてはならなかったのです。 横になっても暑くて暑くて、首振りにした扇風機が自分の所を通過する度に、 「うわー極楽」って思って、また「あづいー」って思う、その繰り返し。 いつしか私は夢の中。 何時間、寝ていたのだろう? 夜中に急に「うわっ嫌だ金縛り」 私は金縛りにあった。 「嫌だ、怖い、助けて、お母さん、お姉ちゃん!」 そんなに怖いのに、好奇心が勝ってしまう。 私はうす目をあけてみた。 暑かった身体を無意識に冷やす為か、布団から飛び出し、畳の上に投げ出された私の手を色白の綺麗な手が両手で包み込み優しく包むのでした。 手だけしか無い、その優しい手に私は、いつしか恐怖も無くなり、少しホッコリしたのです。 その手は誰の手だったのでしょう? 今でも誰の手だったのかは分かっていない。
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