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「……恐かったの。だって、ラドルフは私にとって可愛い大事な弟だもの。そこに家族以上の感情を挟んでしまったら、姉弟の関係は壊れるかもしれない」
転生前の記憶を持っていて、必死だったのもある。
けれど、それ以上の何よりも。
“あの日”から、少しずつラドルフが私に懐いてくれるのが、嬉しくて。可愛くて。
本当の弟のように、私なりに大事に想ってきた。
「だから、ずっと見てみぬ振りをしてきた。でも……ラドルフは本気で、私の事を好きなのよね?」
「うん…………ごめん。姉さんを好きになって」
「……ううん。好きになる感情って、簡単には止められないもの。だから、謝らなくていいわ」
「……姉さん」
すぅと、私も覚悟を決めて、息を吸い込む。
(……正直、まだ迷いもある。でも、これが今の私にとっての精一杯の答え)
「……ラドルフ、私も正直に答えるけど。今すぐにはその告白に返事をすることは出来ない。でも……それは、今まで弟以上には見れないと思ってきたからで」
「……姉さん、それって……?」
私の答えに、ラドルフが信じられないモノを見るような目で私を見る。
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