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……それは、そうよね。
だって、私自身も自分の言動に驚いているもの。
でも、私の頭の中には、ラドルフを拒むという選択肢は出てこなかった。
それが全てで。
「……だから、私がこれからラドルフの事をそれ以上に見れるかどうかは、すぐには分からないし。返事については待って欲しい…の」
「……そんなの、いくらでも俺は待つけど……姉さん、自分が何を言っているのか、分かってるの?」
「もちろん。そこまで、馬鹿じゃないわ」
ふんと鼻息荒く答えて、ラドルフが沈黙する。
その沈黙を破って、
「──…っく。ははっ、ハハハッ…!」
「!」
突然のラドルフからの大笑いに、今度は私が目を見開く番だった。
「な、何よ。なにがそんなに可笑しいの?」
「いや、ごめん、笑って。でも、姉さんって……時々大胆な行動に出るよね」
『まぁ……そんな姉さんも、好きなんだけど』と、ぽそりと呟くラドルフ。
そして、私の両頬を手のひらで包み込む。
その手はもう、震えてはいなかった。
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