▽12:火花散る三人デート

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  「わぁ……」 綿菓子のような雲が、段々と冬に近づく秋晴れの空を漂う晴天の下。 真っ白な壁に赤い三角屋根のコントラストの建物などが連なり、沢山の人々や馬車が行き交う足元には色彩豊かなレンガ調の道。 それはまさに、おとぎ話から出てきたかのような。 何度見ても、新鮮な光景で。 ワクワクと心踊る気持ちに、今すぐにでも走り出したい位だったんだけど。 「──なぜ、婚約者との逢い引きに弟の君まで付いてくるのか?」 「それはいくら殿下と言えど、結婚前の姉の身に何かあっては困りますから。弟の自分が付いてくるのは当然です」 「ほお……一国の王子、勿論彼女の身にも危険など起こらないよう、護衛は後ろで控えているのに?」 「そういう意味での“危険”も含めて、です」 (はあ……せっかくのお出かけ気分も、これが無ければ最高なのに) 白いブラウスに黒のコルセットを巻き、足首までを隠す丈の茶色のロングスカート。 裾には緑の縁取りを乗せて、編み込み形式のブーツを履いた私の髪は二本の三つ編みに緩く編んでもらい、いわゆる町娘スタイルの本日。 肩を落とす私の後ろでは、レイモンド殿下と、弟のラドルフが対立する形で火花を散らしていた。  
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