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そんな二人も、この前の舞踏会とは真逆で、私と同じように目立たない地味な格好の出で立ち。
レイモンド殿下はシンプルな白シャツに、首元は少し開くようになっていて、留め具に編み込みの紐を緩く巻き、黒のパンツルック。
万が一に備えてなのか、腰には短剣を常備していて、身元を隠す為に長めのマントを頭から羽織っていた。
一方のラドルフは紺のVネックチュニックシャツに、腰には皮のバックルを巻いての、すらりとした脚を際立たせるような細身の黒と茶の間の色味のズボン姿。
はぁ……とため息をつく私の前では、二人の言い合いがまだ続いている。
頭を抱えるこの状況に、どう止めようかと考えながら。
(今日の作戦は、殿下に一刻も早く婚約破棄をしてもらうべく、悪役令嬢らしくワガママ放題振る舞おうとか色々と考えていたのに……)
なぜ、こうなってしまったのか。
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