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『愛しの我が婚約者、リディアン嬢
その後、いかがお過ごしですか?
私は令嬢と出逢った舞踏会の日や、婚約を受け入れてくれた貴女の顔を思い浮かべながら、日々想いを募らせています。
そろそろ我慢も限界なので、近々そちらへ伺わせて頂きます。
レイモンド・フォン・アーウィン』
手短に纏められた手紙の相手先は想像通り、レイモンド殿下からで。
歯の浮くような甘いセリフの数々がよもや自分に向けられているとは。
未だに信じられない。
(顔が熱い……)
手元の手紙を封筒にしまい直し、パタパタと火照った顔を手のひらで扇ぐ。
次第に熱も冷めてゆき、それに伴って冷静さも取り戻してきた。
(しかし──どれだけ原作の意に背こうとしても、レイモンド殿下との出逢いや婚約は避けられなかったな)
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